中国に行って若者と触れあった時に驚いたことの一つが、日本の芸能やアニメが実に広く深く彼らをとらえているということでした。
コナンや「嵐」を知らない子はないといった感じでした。
嵐の誰が好き? ニノ!、オオノ君! などとすぐさま答えが返ってきました。
もちろんJポップスと並んでKポップスもよく知られていていましたが。
この方は京都のある芸術系大学の大学院で学んでいる方です。
中国安徽省の出身だということでした。

龍とその子たちについての中国の伝説をモチーフにした絵を描いていました。
伝説の中で龍の子たちに与えられたキャラクターや能力をイメージ化して表現しています。
たとえば仏像で薬師如来は薬の壺を持って表わされるように、それぞれに特徴的なアイテムを持たせたり情景設定をしています。そういう「調べ」が行き届いています。

こういう中国の伝統に根ざしながらも絵画的語彙の中には日本のアニメやイラストの流行が見て取れます。
この方も他の中国の若者同様日本のアニメやコミックをたくさん見て来ています。
こういうものを通じて良きにつけ悪しきにつけ日本という資本主義社会の価値観が中国に浸透していきます。
それは戦後の日本がアメリカナイズしてきたのと幾分似ています。

私が日本のアニメやコミックスに描かれている「女の子」像についてジェンダー論から見てどうなのかというような質問をぶつけると、即答する準備がないまでもそれを正面から受け止める強い知的な働きを感じました。
中国・韓国からの留学生の多くに感じる点です。
そういう問題を意識して来なかった自分、自分なりの見解を持てていない自分に気づいた時の彼ら・彼女らの反応は実に謙虚で、かつ能動的です。

1月の末は中国では春節でした。
日本での正月と同じように中国国民にとっては楽しい大切な行事です。
ですが個展をしている彼女は「帰国できないんです。」
で、中国の家族に送りたいのでという意味も込めて写真を撮りました。
中国の若者の親や祖父母を思う気持ちは大変強いものです。

それは教師に対しても同じで、一度でも教えを受けた教師には尊敬を込めて接します。

以前「教師の日」について書いたことがありました。私はそれを中国の儒教の伝統と結び付けて了解していましたが、この人の話によると『世界教師の日』といって旧ソ連の影響でもうけられて定着した日だということでした。

今日の到達点から次を見据えた作品も別の壁に掛けられていました。
若者の成長は早いですし『革新』こそ若者の属性ですから、大いに期待したいものです。
テーマ:女性ポートレート - ジャンル:写真
- 2014/02/09(日) 00:02:35|
- 絵画
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