絞りの技術には随分いろいろあるのだそうです。
せっかく丁寧に説明していただいたのに、その指先の技をとらえることに神経がいっていて、その場では耳に入れたはずのことが、玄関を出ると粉雪のように消えていました。
まあ単純に加齢による失念だろうと思いますが。

さまざまな種類の絞りは、そのほとんどが一人一芸的に専門化されています。
そうした専門家と細分化は江戸期に発展したようですが、それだけに高度に熟練した技となっています。

総絞りの着物のでは一着をくくるのに1年以上かかるケースが少なくないのだそうです。
模様が複雑になると多色で染めることになりますから、一旦括っては染めの専門業者に渡し、帰ってくればまた別の染まってはならない部分を括って、再び三度、染めに出すということを繰り返します。

そうなるとさらに着物に仕立て上がるまでには相当の時間と手間とを要します。
単純に工賃を考えただけで、10万や20万円では到底及ばない、100万円を越えても少しもおかしくないということになります。
そして総絞りのような大作は職人の一生のうちに幾度も取り組めないことになります。

この方の絞りは広い面を括って染め残す手法です。ですから括りが大きく、括った部分に染料が進出しないようにつまんだ部分を防染用のシートで包んでさらに括ります。

私は工程の説明のために写真を撮っているのではなくて、職人の仕事の「魅力」を撮るべしなのですが・・・・。

糸を引っ張るとキリッと軋んで締まります。糸を引っ張る力が弱ければ染料がしみ込むし、強ければ糸が切れます。

とても親切に説明をし、動作を見出てくれますのでついついそれを追っかけてしまいます。
テーマ:ある日の風景や景色 - ジャンル:写真
- 2013/12/16(月) 00:04:03|
- 伝統工芸
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12月14日にBSで放映された「京都の迎賓館」を観て京都の懐の深さに感動し、伝統工芸品の技術に目を見張りました。日常で工芸品を使う事が出来ると幸せな気持ちになれますね。「民藝」もそうですが…
「総絞りの振り袖」の着物をくずして、夏のワンピースに仕立て直し着ています。贅沢な一着です。
- 2013/12/16(月) 15:42:54 |
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- kantere #-
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> 伝統工芸品の技術に目を見張りました。日常で工芸品を使う事が出来ると幸せな気持ちになれますね。「民藝」もそうですが
そうですね。京都にいるといわゆる都の工芸ばかりが目につきますが、洗練されていると亜流周のよそよそしさも出てきますし、私のような庶民との懸隔も感じます。
そういう意味では庶民の生活の中に定着して、かつ、人の技や心配りが結晶した民芸にももっと光があたってほしいですね。
> 「総絞りの振り袖」の着物をくずして、夏のワンピースに仕立て直し着ています。贅沢な一着です。
素晴らしい一着いですね。使い捨て時代以前のものを再生して楽しむのもある種の豊かさですね。
- 2013/12/17(火) 09:38:32 |
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- soujyu2 #-
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