いつだったかの中学時代の同窓会の時に「良い年の取り方をしている」というようなことが話題になりました。
世はあげて「若い方がいい」「アンチ・エイジング」ですが、人は老いねばなりません。
仏教の「四苦」には「生・老・病・死」があげられています。
しかし、人生を生きることを否定的に考えることはあまり賛成できません。
生きたこと、生きていくことをもっと肯定的に考えたいものです。
そして「良い年の取り方」をしたいものだと思います。
この方は業界の中では必ずしも高齢だというわけではありません。

長年の仕事を通じて「出来る人」になっていることはその方の人格の形成の上で重要な要素の一つだと思います。

昔、国語の教科書に「であることとすること」という丸山真男氏のエッセーが掲載されていました。
生まれや身分ではなくて、その人が何をなしたかによってその人の評価・価値は定まるべきだという、いわば戦後民主主義の価値観の柱の一つとなる考え方を説いたものでした。

(上の写真と下の写真とは「間違い探し」ではなく「違い探し」のためのものです。)

私は職人さんたちの仕事の姿に感銘を受けるのですが、この姿は顔の表情、手指の動き、体の姿勢などなど、どれも一朝一夕に形作られるものではないものだからです。
「すること」を通じて形成された姿に魅力があります。

集中をし緊張もしていますが、力の偏りやよどみがないこの姿は動きの少ない洗練された舞を見るようです。

最近の円安で欧米の観光客が増えています。
彼らもまた黙って写真を撮って行きます。
しかし、彼らをとがめ、「まったく〇〇人のエチケットのひどさは・・・。」などという人は稀です。
テーマ:ある日の風景や景色 - ジャンル:写真
- 2013/11/02(土) 00:00:14|
- 伝統工芸
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