京都で町を描く、町を撮るとなるとつい有名寺社やその庭、あるいは歴史のある商家などが取り上げられる。
有名な版画家や画家の作品も・・・その技術の高さや、京の魅力を描く上では高く評価されてしかるべきだとは言え・・・そういう人々の関心を安易にひくことができる題材に傾く傾向を私は批判的に見てきた。
そんな折、京都を自分が住んでいる普通の街並みとして捉える水彩画を見つけた。
前の週に魅力的な若い女性作家・・ティンガティンガの作家・・・の写真を撮らせていただいた時に、「来週も若い女性の作家さんですよ。」とギャラリーのオーナーに教えていただいたのです。
だから出かけたということももちろんあるのですが、事前にDMを見ていて関心を持っていたということも、一応、弁解がましいけれど、書いておく必要があります。

と同時に、畏友Hudson Terrace さんの水彩画を毎朝見ている私にとって、京都のあちこちの画廊で見る水彩に物足りないものを感じていたということもあり、この方のDMは私の関心を呼ぶに十分だったのです。

実は、初日にお邪魔した時には和服姿で眼鏡もかけておられない姿でした。
それが今日はお仕事からの帰りにギャラリーに立ち寄るということで、洋服でした。実に趣味のいい品あるコーディネートで感心しました。

京都の有名寺社や花街を描かない方は、町屋が並ぶ「路地」を描くことが多いのです。でもこの方の町の風景は、「いわゆる京都らしさ」をすっかり脱ぎ捨てています。
ですが、まさに生活のある京都の町並みなのです。

私はこのとらえ方に共感しました。
私の写真にも、実はかなりの有名人やその道の著名人が入っています。ですが一度たりともその方がそういう方だからといって撮ったことはありません。無論、仕事に対する情熱や志、優れた仕事への敬意は持っているつもりですが。

既に町の灯も大方消えた時刻に、自宅のベランダから記憶をたどって町の情景を描いた絵があります。
家々の形は不明確ですし、線も確かではありません。 ですが闇を透かして「私の中にある町」を描いたその絵にはこの方の画業に対する一時期の気持ちも出ているようで、繰り返しその絵の前に立ちたいような気がしました。
写真は苦手でとおっしゃるので・・・事実、そうだろうと思われるしぐさが随所に見えるのですが・・・幾分私は遠慮がちなのですが、意外にもいろいろ協力していただき、案外楽しいんですねと仰っていただいたのはうれしいことでした。

目の形がとてもきれいな方なので、思い切って「眼鏡をはずしていただけますか」といえばよかったのに、演出しない、あるがままに、にとらわれ過ぎてしまいました。
この方の絵の影響もあったと思います。

この写真は、ご本人には、笑ってみていただけると思います。

お知らせ。
2014年1月7日(火)~19日(日)の期間で個展をすることにしました。
場所は「ギャラリー知」
京都市内、寺町通り丸太町の東南角(京都御苑の東南角でもあります)を東に行ったところです。以前から色々お世話になっているギャラリーです。
年明け早々ですが、お時間が許せばぜひお立ち寄り下さい。
テーマ:女性ポートレート - ジャンル:写真
- 2013/10/18(金) 00:01:45|
- 絵画
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個展おめでとうございます。
とても、京都まで行けそうもありませんが、成功をお祈りします。
- 2013/10/18(金) 20:59:59 |
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- だちょう #-
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祝いのお言葉をいただき、ありがとうございます。
私がなぜ個展をするのかなあと自分でも時々不思議とも間違いではないかとも思います。
社会的にも歴史的にも意味がないとしても、私がこういうことしてを楽しんでも、周りに迷惑をかけるということまではなかろうと思ってやることにしました。こういうこともやってみないとどういうことなのか分からないように思いますし。
案外病みつきになるかもしれません。あるいはやらなきゃよかったとどこかに身を隠す穴を見つける旅に出てしまうことになるかもしれませんが。
- 2013/10/18(金) 21:32:18 |
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- soujyu2 #-
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はじめまして
ハンドル名、「えいいち」と申します。
(定年間近に、「線スケッチ」にはまった親父です。)
いつもブログを拝見し、毎回、とり上げらておられる様々な方たちの記事に刺激をうけております。
特に、今回の記事には、SOUJOUさんの考え方、姿勢が、これまで以上に述べられていて、大いに共感するところががありました。
また、「この方の町の風景は、「いわゆる京都らしさ」をすっかり脱ぎ捨てています。ですが、まさに生活のある京都の町並みなのです。」とsoujouさんに言わしめる女性がおおられることにも、意を強くいたしました。
「人々の関心を安易にひくことができる題材に傾く傾向を私は批判的に見てきた。」と言われているように、私も、いかにも京都らしさを描くことに躊躇しておりました。
この女性の場合、「京都を自分が住んでいる普通の街並みとして捉える、」「まさに生活のある京都の町並み」を描いておられるように、私も、名所、旧跡をはなれて、現代都市としての京都の活きた姿をを描けないかと思っております。
とてもこの女性(プロと見受けられます)の絵のように描けないと思いますが、SOUJOUさんのこのblogの主題ににかける志と同じ気持ちを持って試みたいと思います。
なお、日程が合えば、個展、訪問したいと思います。
- 2013/10/19(土) 00:00:20 |
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- えいいち #-
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