この方は桐を素材にした木工制作しされています。
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といっても「手先でモノを作るのは何でも好きで・・・。」と彫金もされていて、ここには靴べらも並べられています。
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今は、指輪を収納する箱を作っています。
ふたのある箱ものでは、茶筒などと同様ふたのしまり方というか、落ちつき方が気になります。
無論ゆるくてはいけない。だからといってぎちぎち、がちがちにしまって、開け閉めが困難では、これもまたいけない。
ふたをしたり、開けたりする時に、抵抗が均一でなくてガタガタするのも気持ちが悪い。
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こういう鉋がけなどの精度が問題になります。
ふたの天地は決まっていないのですから、使用者がひっくり返してふたをするかもしれない。それでも閉まらなかったり緩すぎるなどのことがあってはいけない。この当然のことを当然とすることは技術の前提でしょうが、これが決まった時には、職人としての「快感」があるんだろうなあと思います。
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昔は日常的に職人の鉋がけが見られました。 鉋が木肌をすべる音や、巻いて舞い上がる鉋クズの美しさ。
桐を削るための鉋は刃が鋭角で、欅などのための鉋に比べれば鉄の素材が柔らかなんだそうです。
わざわざ鉋の刃をはずして比べて見せてくれました。
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工房の中に生活のすべてをもちこんで、起きれば食べて仕事、仕事が終われば食べて寝る、見たいな生活なんだそうです。
ですから工房≒家から一歩も出ない日も、ほとんど人と話さない日も。
「そうしないとつい別のことをしてしまいますから・・・。」と。
仕事三昧の生活なんですね。
文化財の修復なども手掛けておられます。

ですから彫金が必要であれば彫金を、木工が求められれば木工を、となんでも自ら取り組んで「どうしていいのか分からないようなこともあるけれど、とにかくやってみて身につけるしかないと思って・・・。」
でも注文仕事は「やってみたけどできませんでした。」では済まされません。大きな強い覚悟が必要ですね。
それをとてもさわやかな笑顔で話されると、こちらもうじうじしていられません。
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また少しずつこうした人たちに尻を叩かれているような気がします。
尻を叩かれてどちらに進んでいきましょうか。
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- 2013/05/10(金) 00:03:25|
- 工芸
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