京友禅彩色の道、40有余年のベテランです。
白生地に描かれた下書にそって彩色をしていきます。下書きは形だけですから、そこに描かれる・・この場合はカトレアですが・・・物をどのように描くかということが、問題です。
この方は自身の作品として、近々行われるコンクールに出品する為の作品づくりされているのです。
ですから、どのような絵にするかはご自身次第です。

問屋からの注文で描くことの多い職人さんたちですが、「時には自分のデザインで個性を発揮しないと・・・。」とおっしゃいます。
それはそうでしょうね。注文にいかに応えられるかという腕もまた評価されるべきでしょうが、同時に、色々な挑戦もしたいでしょうし、自分なりの工夫にも挑んでみたいでしょうし。

こういう場面では、話しかけていいものかどうか迷います。

実演会場ですから、話しかけられるのは覚悟していただいているとは思いながらも、真剣に取り組んでいる姿自身を見たいという気持ちもあって・・・、お邪魔じゃないかなと逡巡してしまいます。

「いや、話しぐらいはしながらでも描けますよ。」と流石にキャリアを積んで、技を我がモノにされてきているからこそだと思います。
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今描かれているのはご自身が庭に育てているカトレアで「今まで何度となく描いてきているから、改めてスケッチしなくても。」どう書けばいいのかすっかりわかっているからなおのこと余裕があるんですね。
幅1センチばかりの平刷毛の先を斜めにカットした独特の「筆」で、絵の具と水を巧みに含ませてぼかしながら描き込んでいきます。・・・・刷毛と書きながら「筆」と言わないとどうもこの道具をうまく表現できません。

テーマ:ある日の風景や景色 - ジャンル:写真
- 2013/03/28(木) 00:01:38|
- 伝統工芸
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