人は毎日誰かと出会っている、ということが言えるかもしれません。ですが、そのほとんどは単にすれ違っているだけで、特に会話もしません。まあ、そういうのを「出会う」とは言わないかもしれませんが、ギャラリーなどで左右の壁の別の絵を見ながら背中同士で行き違う人も数多くいます。そしてその方たちのほとんどには、二度とお「会い」しないでしょう。

この方は奈良県から京都に「就職が決まったので、四月までの時間を『有意義に』過ごそう」という思いで京都のあちこちを歩いていた方です。
大学で建築を学んでおられたそうで、この付近の黒川紀章氏(先年、都知事選挙に出馬後、数カ月して亡くなった建築家)の設計になる建物を見てこられたのだそうです。
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そして次に京都市立美術館に行こうとして、その途次にこのギャラリーにふと足を踏み入れたのだそうです。
訥々とお話になる言葉の一つ一つがとても誠実で、心のこもった言葉でした。
四月からの職場では、さまざまな困難も待っていそうです。
しかし、この方にはそうしたことに対する覚悟がちゃんとできておられました。

その困難を、自分にとって嫌なことと受け止めるのではなくて、それこそが自分の「やりがい」と受け止められているようでした。少しも高みからそれらを見てはおられません。

新規採用としては「若くはない」と言えるでしょう。私が就職した年に近いです。
それだけに、人ごとではないような気がして色々おせっかいな話をしました。一つ一つの話に丁寧に耳を傾けられていました。
そして、その穏やかな振る舞いの中に、何より、挑戦する気概やワクワク感が静かに燃えているのを感じるのです。
言葉を紡ぎ出す一瞬前のしぐさです。好感を抱かせる原因の一つですね。

職場にいったら、この笑顔を大切にしてほしいとおもいます。
眉間にしわを寄せたくなる現実が、いやというほどありますが、そうした皺によって解決できるものはそんなに多くはありません。むしろ笑顔が困難を解きほぐしていきます。

あなたの明日に期待しています。
テーマ:ある日の風景や景色 - ジャンル:写真
- 2013/03/11(月) 00:03:16|
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