人との出会いには、それぞれうれしさがある。
今回も実に貴重な出会いを経験した。
中国北京出身の画家、袁浩氏です。

氏は、すでに在日30年になりますし、お名前も奥さんの姓になって、川辺と名乗っておられます。

私は・・・自分の実に乏しい経験からですが、・・・中国の現代画の優れた作品に触れる機会があまりありませんでした。
伝統的な水墨画の見事さには、一再でなく、驚きを感じましたが、油彩画では、ことにその秀作に出会うことがすくなかったのです。

中国の近現代を知る上で、絵画や小説の芸術作品に触れることはとても大切な意味を持つと思います。
今回の展覧会では、風景画とともに、いささか珍しい絵に出会うことができました。
「群像」と言えば少々イメージが違います。ですが、画面にはたくさんの人が書き込まれています。敢えて言えば風俗画的な題材なのです。
たとえば渡月橋を歩く観光の人々の流れ。修学旅行で清水寺に向かおうとする小学生や付き添う先生、一般の観光客。
そうした情景がとても明るく透明感のある水彩の手法で描かれるのですが、この「大衆」といっていい人物群の実に個性的で、しかも生き生きとして躍動的な・・・しかし過剰にドラマティックでなく・・・姿で描かれているのです。何十人もの「大衆」は「砂のような大衆」ではありません。個性と人生を持った、固有の表情をもった「人物」として描かれているのです。
しかし、そうした表現のために筆の単純化されていることと言ったら・・・・。
(⇔)

この並々ならぬが力が、気負いの片鱗さえ見せないのです。この人間への愛着はなんだろう。

私は、氏から、氏のこれまでたどった人生の軌跡、人と社会に対する深い思いをお聞きしました。
テーブルにあった氏の画集を開いた時に、まったく正直に「オッ!!」と声をあげてしまいました。ページを繰るごとに「なんだこれは!!」とつぶやいたのです。
画力も素晴らしいが、人間への眼差しの鋭く、また愛のなんと深いことか。
氏は「もう少し暖かくなったら、東北に描きに行きます。そこに住む人々が懸命に生きる姿を描かずにはいられないのです。顔をあげて、元気を出している姿を、描きにいきます。」とおっしゃいます。
元気だとか、明るいとかいう言葉を発する氏自身は、人が生きる上で、避けがたく覆いかかってくる不条理を十分以上に体験し奥歯をかみしめてきたのです。
麗夫人への愛情もさることながら、移り住んだ日本の人々への深い愛情と共感がひしひしと伝わってきます。無論、故郷の人々への止みがたい思いがそこに重なります。

どうしても画集を分けていただきたくて、購入を申し出たのですが、「いいよ、持っていったら。」といわれます。
この長身痩躯の70才余の画家の気力の充実は、私を叱咤しました。

世のかなにはすごい人がまだまだたくさんおられるのだなあとつくずく感じました。
そして、いただいた氏の画集を、あの時以来、机の前につくたびに、一ページ一ページ広げています。

東北での収穫を見せていただく楽しみができました。
テーマ:ある日の風景や景色 - ジャンル:写真
- 2013/03/05(火) 00:04:46|
- 絵画
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ご訪問ありがとうございます。
良い写真を求めてブログを見せていただきに上がりました。
今後ともよろしくお願いします。
- 2013/03/06(水) 16:44:06 |
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