毎月の25日に開かれる天神さんの露店市。
私も時々、出かける。骨董や古着など、ときにへ~っと驚くようなものがある。
我が家にはこんなものがあります。

この茶棚を作られたのが天神さんでお会いした北川さんです。(ちなみに活花は我が家の小4の子が活けたものです。小4の子とかみさんの名誉のために)
ちょっといろいろ乗りすぎていますが、何しろ我が家には床の間がないもので。一時的に他から引っ越してきているものも乗っかっています。

北川さんは元来、建具職人です。お父さんに鍛えられて「仕事一本やり」の根っからの職人さんです。

よく外国からのお客さんが店を覗きますし、日本人より深い興味をもって見ているようです。

彦根に工場をもって仕事をしておられますが、天神さんや弘法さんの市に出して、全国から訪れた方たちからの注文に応えておられます。
画家が「額を作ってくれ」と言ってきたり、「今度建てた家の建具は皆任せるからよろしく」と言われて寸法をとりにいったら、大変なお屋敷だったとか、色々な経験をお話してくらました。
寒い日でしたので、「まあ奥に入ってコーヒーでも・・・。」と、奥さんと一緒に勧めてくれました。
奥さんの話では、地元に戻るととにかく朝から晩まで仕事に熱中する方だそうで、「仕事が趣味みたいな方なんですね。」とお尋ねすると、笑顔でうなづいておられました。

正月も、「昔、父親から『正月は15日まで仕事はするな。たとえ板が倒れても直すな。』と言われたが、自分は正月3日から仕事をしている。」とおっしゃっていました。
とにかく木材の美しさを実に率直に活かされていて、肌合いが何とも言えないのです。
いつもつい立てが数本並べられるのですが、どれも欲しくなってしまうような作りの精妙さがあり、と言って大仰ささや離れ業で脅かすようなところがなくて、実に落ち着かせるのです。

この日、残念なことにカメラのAFが迷いがちだったことと、私の目が妙に不確かだったこととがあいまって・・・最近少々PCのモニタの前に座りすぎなんです・・・・、少しもよい写真が撮れませんでした。

よい写真が撮れなかった事情を備忘録として書いておくと、
1) 北川さんの話に夢中になって、話の距離に囚われて自分の撮影の距離が保てなかった。
2) 北川さんの写真は彦根の工房をお訪ねして撮らせてもらおうと決めていましたが、そこでの写真に比べて「今日はあまりいいモノになるまい。」と撮る側の勝手な思い込みで、失礼な心の姿勢のまま撮ったことにあったように思いました。
大いに反省しなければなりません。

長い話のあとで私の写真の話になりました。
「あれこれ考えずにとにかく個展をやれ。」と強く背中を押されました。そこには職人の潔い覚悟のようなものを感じましたし、修行のあり方を教えられた気がしました。

この日かつての同僚で私と同じ年の友人が亡くなって、葬式がありました。
別に撮影の約束が以前からあったので、出かけてきたのですが、やはりちょっと心ここにあらずという面が幾分あったようです。
あまりに早い人生の終えんでした。実は私ごとですが義兄もまた同じ年頃で逝きました。
「生きている」ということについてちょっとまじめに考える日でした。
(過去の写真から)
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![DSC09626[1]](https://blog-imgs-36-origin.fc2.com/s/o/u/soujyu2/20130128170623236.jpg)
![DSC09621[1]](https://blog-imgs-36-origin.fc2.com/s/o/u/soujyu2/20130128170638367.jpg)
テーマ:ある日の風景や景色 - ジャンル:写真
- 2013/02/09(土) 00:02:16|
- 工芸
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