たとえばボクシングを観戦しに行ったとして「このリングはよくできているなあ。ロープの張り方が素晴らしい。」などという感想を持つ人はごくまれに違いない。
油絵を見て「画布の張り方が見事だ。さすがが職人芸だ!!」と感嘆の声を洩らす人もまた珍しいだろう。
織物も、そこに描かれた絵柄や刺繍や、あるいは染めの良さを評価しても縦糸に注意を払う人は、ごくわずかしかいないでしょう。
ある意味で織物の経糸(たていと)もそうかもしれません。
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織機には、緯糸(よこいと)を通す隙間を作るために、経糸を上下に引っぱって分ける仕組みが付いています。この仕組みを開口装置といいますが、最も代表的なものが、「綜絖(そうこう)」と呼ばれる装置です。
あらかじめ、経糸を一本おきに二枚ある綜絖の片側だけに通しておきます。そして、二枚の綜絖を上下逆方向に動かして経糸を分け、出来た隙間に緯糸(よこいと)を通します。通した緯糸は、「筬(おさ)」という櫛状になった板で「とんとん」と叩いて締めます。次の段では、二枚の綜絖の上下を逆にして、緯糸を通します。この動作を繰り返すと、平織の布が出来るわけです。
「綜絖(そうこう)」にある穴をカギ針のようなものをつきだして糸を受け取って通します。二人の職人さんによる集中した根気のいる作業です。
この作業なしに緯糸による絵柄の織りだしはできません。
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こういう作業は機械化するしかないでしょうね。おそらく若者があえてこうした仕事を担おうとするとは思えません。
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しかし、今やそうした機械が開発されても導入するだけの力を西陣が持っているかどうか疑問です。
開発コストに見合った売り上げ台数はとても望めないのではないでしょうか。
こちらは縦糸を継いでいるところです。
この機は、体験用のものですので、修学旅行生などがちょっとしたテーブル敷きなどを織っていきます。
糸は木綿の太いものです。

糸の結び方は「釣りをされる方などは、すぐ理解されるんです。テグスの結び方とよく似ていますから。」結び目が小さくなるのが特徴です。」


テーマ:女性ポートレート - ジャンル:写真
- 2013/01/10(木) 00:06:18|
- 伝統工芸
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