若者の決断
衰退の傾向にあるものに自らの運命をかかわらそうとするのには強い意志が必要なんだろう。
自ら選び人にも勧めて乗りこんだ船が一旦沈み始めると吾先に逃げ出す政治屋の姿を見ていると、今日取り上げる若者の姿は一層凛としたものに思える。

この業界では「同世代の職人を見つけるのも難しんです。少し上の人はいることはいるんですが。」

今製作しているのは「小紋」なのですが、既に絵柄を描き終わって、「地の染色をするので絵柄の部分を染まらないようにコーティングしてるんです。」
と、見学者の私が喜ぶような作業場面でないことに気を使ってくれる。
絵柄の裏表をコーティングして地の部分の染色時に染料が侵入することを防ぐ作業をされている。

弓のような道具を使って布を引き広げて作業をする。絵柄を描くときにはこの下のヒーターを置いて乾かしながらの作業です。そのことで染料の浸透を促進する意味があるようです。

こうしてコーティングしても「時に小さな泡ができてそれが割れたわずかな隙間から染料が浸みいることがあるので地の染めは裏からするんです。」
十分な注意をして下作業でも万が一のことがある。人間にミスはつきものだ。完璧を目指しても完ぺきを期待することはできない。高い技術をめざしている者の現実的な謙虚さだ。そこに職人のリアルな目がある。

★★原子力発電などに見られる「近代技術」を担う人々にこの「心構え」が決定的にかけている。
医療行政や、福祉行政の担当者にも同じことが言える。いやむしろ現場の「悲鳴」を無視し続ける「エリート」たちの退廃がそこに見られる。
学校などは見るも無残な姿になてっている。★★

切磋琢磨して成長する為には同世代の職人仲間の存在は不可欠だろう。しかし、現実的にはそれはないものねだりになる。
お互いの工夫を評価し合い、苦労に共感する仲間の存在はどの職場にも必要だろう。
「新しい職人を育てようにも若い人を抱えるだけの余裕がそれぞれの師匠にないんです。」
同じことを年配の職人たちが異口同音に言う。

「また必ずどこかでお目にかかるでしょう。頑張ってくださいね。」
洛南病院のスタッフの方です。
お仕事に対する姿勢・考え方が顔に現れています。とても魅力的な方でした。


テーマ:女性ポートレート - ジャンル:写真
- 2013/01/02(水) 00:07:51|
- 伝統工芸
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