街を自転車で走っていると、なぜか惹きつけられるモノに出会う。その何かはお店であったり、催物であったりするけれど、惹きつけているものが何なのかはにわかには自分でもわからないことが少なくないのです。
この日もそうでした。ちょっとおしゃれな、だからと言ってそれほど手が込んでいるわけでもなく新しいアイディアにあふれているのでもなく・・。
それでも、ここにこんな喫茶店があったっけ?!というだけではない、何かひっかかるもの。
猪田彰男・・・喫茶店・・・コーヒー・・・・あっ?!あのイ〇ダ・コーヒー?! でもなぜここに?
建物の入り口には猪田彰郎氏が珈琲を入れる指導をしているとあります。
さらに社会福祉法人 白百合会 リ・ブラン京都の名前が。
お店自体の外観はほかにもありそうな喫茶店のようです。そのまま立ち去ろうとすると中から白衣の着た白髪の年配の男性が出てこられて、「珈琲しかありませんが。」というのです。
「珈琲しかありません。」とは「珈琲に絶対的自信があります。」の裏返しに他ならない。
それを聞いて、今日は寺ブラの日ですから、先を急ぎたいのですが、足がペダルに懸ったまま動かないのです。
ええい、何か感じるなら入ってみるしかない。好奇心に牽かれよ!だ。
そこでお会いしたのが、15歳から今日までずっとコーヒー一筋に立ててきた猪田彰郎さんだ。
好き嫌いは別にして京都でコーヒー好きを自称する人でイ〇ダ・コーヒーを知らない人はあるまい。
あのイ〇ダ・コーヒー店で長年コーヒーを淹れ続け、そこを退職されてきた方だ。
御歳79歳(間もなく誕生日だそうです)。
私が生まれるより前からコーヒーを淹れ続けてきたことになる。

ここは「授産施設」。その授産施設に多くの方が関心を持ち、足を運んでにぎわしてもらうために、珈琲の世界で知られた自分を進んで「活用してもらおう」と、この店のコーヒーを指導することになったモノのようです。
猪田さんに協力を求めた幼馴染の声掛けがあってのことだそうですが。

猪田さんは月、火、木、金の10:00から14:30までここで自らコーヒーを淹れてくれる。
ファンにはたまらない。
多くのファンの中にはかなりの著名人がいる。
ついこの前も北〇路欣哉さんが来たらしい。先客があってその方と、「吉永さんは・・・」とか「欣哉さんは来るの」とか、話をされているので少々面食らう。(その来る場所は別のある会場のことらしいけれど)
大変気さくで話し好きと見ました。
撮影をお許しいただきました。ただし、外部者は厨房には入れません。当然です。
そこで本来ならば初めから2枚目の場所でコーヒーを淹れるのですが、撮影のためにわざわざこうして厨房の外から撮れる場所で淹れてくれました。

話し好きの好々爺が一変します。
私が一番気に入っている写真です。

先ほどまでのやさしそうな話ぶりとは打って変わって、仕事人としての厳しさがスタッフへの指示にも出ます。

ここ間、数分という表現では長すぎる時間です。
猪田さんの集中と緊張の姿に私のカメラが追いつかないのです。
- 2012/10/14(日) 01:51:12|
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