9月の1から3日は、富山県富山市八尾町(旧婦負郡八尾町)で「おわら風の盆」という祭りがあるのだそうです。
この祭りでは、「越中おわら節」の哀切感に満ちた旋律にのって、坂が多い町の道筋で無言の踊り手たちが洗練された踊りを披露するそうで、ホタルを追う様子を表現した艶やかで優雅な女踊り、田仕事を表現した勇壮な男踊りが繰り広げられ、胡弓の調べなどが来訪者を魅了するといいます。
普段は人通りも多くないや八尾市がこの時は遠くからの観光客や写真を撮り人絵を描く人などで賑わうそうです。
その「おわら風の盆」にすっかり魅了されて毎年(今年は個展の開催日に近すぎて行かれなかったとか)通い、女踊りを中心に描き続けてきた方がいます。
田中昌巳さんです。

田中さんは私より一回りと少し先輩になりますが、実にお元気に絵に取り組んでおられます。
この「ギャラリー カト」で隔年に個展をされて7回目です。 以前何度か見せていただいています。
個展以外の機会にも見せていただいた記憶があります。

田中さんが本格的に絵を描き始めたのは定年になる少し前だそうです。そして定年の翌月というか翌日には京都岡崎にある関西美術院に通い始めたのだそうです。そこでみっちり裸婦デッサンを勉強されたそうですが、女踊りの絵にはそのデッサンの確かさが十二分に生きているように思います。
なんて私が言うのは僭越すぎますが。

それにしても踊り手の腰の決まり方、足の浮き方、手指のしなやかな美しさ、うなじの美しさなどなどに至るまで見事に表現されています。
女性の美、ある種の「色気」を表現しようとする執念を感じます。

女踊りの優雅な女性の姿態を描き続けて来られましたが、その一方で「幻想の領域」と題した一連の作品も描かれています。
HPに詳しく示されていますが、京都南禅寺水路閣のレンガの造形に深い思い入れをお持ちのようです。
その形象と女性の姿とを重ね、あの水路閣のレンガの壁が持っている不思議なくすみや、古びたはがれを幻想的に描かれています。
(⇔)

2年後の個展会場として、このギャラリーの予約をされているということですから、少々足元がご不自由のようですが、ますます元気にお描きになるだろうと思います。
奥さまの強い支えが垣間見られますし・・。
定年を転機に色々なことを始めるモノは少なくないのでしょうが(斯くいう私もその一人ですが)ここまでの到達を示すことができる人は、決してそれほど多くはないと思います。
少なくとも10年続ける。これがカギかな、なんて思ってずいぶん鞭撻されました。
何しろ田中さんは「風の盆」に「溺れて続けて14年」だそうです。
(⇔)
- 2012/09/20(木) 01:23:30|
- 絵画
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