ちょっと気になっていたんですよね。
鴨川の飛び石の一つに長い時間じっと川面を眺めている人がいたんです。ちょっとうずくまるようにして。
こんな浅い川ですから大人が意を決して飛び込んでも死んでしまうことは難しいでしょうから、そんな心配はしないですが、思いにふけりたい人は、無論、いるわけで。

ここにはいつも何人もの人たちがいますから、私はそこで人間観察をしながら、ポツリほつりと歩いて回るんです。
久しぶりにカーター君に会えるかもしれないですしね。
例の歌える医師を目指してる人にももうずっと会えていないですしね。

それで遠目にも肩の傾きや視線の方向などを観察しているわけです。
そして、何かその人の「特別」を見つけるんです。
特段そういうものを感じさせない人に声をかけても私の気持ちが乗りませんからいい写真にはなりません。
気持ちが乗ったってうまくいかない方が多いんですから。

この前日に降った雨が鴨川の数位を高くして、飛び石のいくつかは水の流れに沈んでいます。
それでも渡る人、「オー、ノー」とばかり踵を返す人も。
この人の座っていた飛び石は、私の居る側とは水没した飛び石を挟んでいますから、こちらに来るとは思っていませんでした。

私が別の人と話をしていると、突然視界に入ってきました。
「あれ、帰られるんですか?」(「よく、こちら側に渡れましたね。」と言いたかったんですが、思わぬ言葉が出てしまいました。)
突然声をかけられて戸惑っていたので「遠くからあなたの様子を見ていて、何か惹かれる雰囲気を感じて、もし向こうに渡れるのなら写真を撮らせてもらおうと思っていたんですよ。」

川向こうの大学でアルバイトをしながら、川のこちら側の大学で研究しているんだそうです。
先日は、アメリカから、とある大学の博士課程で研究する女性に出会いましたが、この人もまた博士課程かな。遥かなる山の国からきているんだそうです。

学んでいる大学に向かう時間だというので、無理かなと思ったのですが、少しならというので・・・。
「前のあの石のところに行きますか?」と言ってくれたのですが、私にあの水を被った石を渡る根性がなかったのと、遠くまで行ったんではこの人が講義に遅刻するんじゃないかと思って、近くの石で我慢しました。
- 2023/06/11(日) 00:00:03|
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