京都市役所の西側に『余花庵』というギャラリーがあります。
1月24日(火)から2月の5日(日)まで「今のミャンマー あの頃のミャンマー』というテーマでWART漫画展が開かれています。
WARTというのは頭文字を並べたものですが「WART」は「いぼ(疣)」のことでもあるそうです。「疣」は体にあるとたとえ全身が健康でもその存在が気になって仕方がありません。このWARTは世界にとっての「イボ」であらんとする団体だそうです。つまり「虻」ですね。ソクラテスいうところの。市民に嫌がられても追い払われても、市民に「真実とは何か」を突きつける虻たらんとしたのがソクラテスですが、WARTは世界の人々に、「こんな大事なことを忘れていませんか?!」と常に気に障らせる存在であろうとしているようです。
(私は高校生の時に生徒会の新聞の編集委員として「気障であれ」という論説文を描いたことがありましたが、「WRAT=いぼ」の記事を読んで、そのことがふと思い出されました。「気障=心にかかり、気にかかること。」 私たちはそれぞれの思想を磨いて世間にとって気障になれというのでした。こんなことを書くような奴は「キザ」で鼻もちがならないですよね。)

世は「ウクライナを支援しよう。」の声にあふれていますが、ミャンマーの人々が軍部のクーデターによって憲法が停止されて軍部独裁政権下で自由を奪われ徹底的な抑圧され、生命に対する甚大な危害がにさらされていることはすっかり忘れている(度外視している)ようです。(同様なことはアフガン問題でもそうですし、私に言わせれば、今も続くキューバに対するアメリカの不当な抑圧問題も同じです。)

ミャンマーに起こっていることは国と国との戦争ではないので…などという人がいますが、中国のウィグル問題では「ウイグルで生産されているモノに対しては不買運動を!!」などといっている人たちが同じような熱心さで「ミャンマーに資本進出している企業の名を明らかにして、その生産・販売物を排除しよう!」などと呼び掛けているのを寡聞にして知りません。アメリカ政府や日本政府はどうしていますか。日本政府はほとんどだんまりですし、日本企業の進出は黙認です。

大手マスコミが沈黙しがちなのをWARTの活動は私たちに「痛くはないか?!」と問いかけてくれています。虻の羽音を立てています。

今日の写真の方は、ミャンマーで仕事をされていたけれど軍部のクーデターによる自由の抑圧で仕事にならなくなって帰国した方です。ミャンマーでできた友人たちの上に起きていることを日本の人々に、世界の人々に知らせようとしています。そして、自由なミャンマーの実現を支援しようと活動されている方です。

重いことを真摯に話す方は、言葉を選び言葉の背後に思いめぐらせますから、表情は複雑になり、「立て板に水」ではなくなることがあります。
レンズを向けているとうつむき加減になったり時に表情がゆがんだりします。
その表情がこの人の誠実のあかしだと思うのですが、撮れた写真を公開するかどうかには迷いが出ます。

人を撮るということのだいご味でもありますが難しさでもあります。
ポスターを映しこんだ写真(漫画家篠原氏のFbのページから無断拝借しました。お許しください。)も掲載しますが、私はこのポスターを見て沖縄の子供たちの姿を思い浮かべました。ポスターの少年が見上げる空には軍用ヘリコプターが飛び少年は地面に仲良く手をつなぐ子らを描いています。
- 2023/02/01(水) 00:00:03|
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