個展の期間は自分の写真を見て暮らします。
そうすると「何か決定的に足りないなあ」という印象がじわじわと湧き上がってきます。それは今回に限ったことではないのですが。
ことに今回のように若い女性たちの写真を展示しているときにはそれを感じます。
自分の好みの女性を、しかも魅力的な女子を撮れたことを自慢しているだけじゃないのか。
「もしよければ、まあこの一枚は気に入ったかかなという写真があったら教えてくれますか?」とお訊ねすると大概の方は、一瞬迷ったり、あるいは即座に「これがいいです。これが好きです。」とどれかの写真の前にいかれます。
その時ん密かに自慢の写真であった時にはうれしいものですし、自己満足だけじゃないんだなと思う訳なんです、が・・・・・それでも何か、得心のいかない何かがあるんですよね。

ある米国青年は「あなたの写真を見ているとあなたの視線に人間を大切にする気持ちが見えます。」(これは多分そういう意味のことを言ってんだろうという意訳ですが)
出口に向かった若い外国人女性に声をかけると、振り返って「Beautiful work!」だと言ってくれました。
だから多分、それほど悪いことはないんだろうと思います。
でも、・・・・なんですね。
それが自分の感覚だから仕方がない。
そうかといって・・・・何がどう足りないのか。
言語化できないもどかしさがあります。
人間追及が甘いんだよ!! かも知れませんねぇ。

この方は、お友達と来られて、一緒に、ぐるっと写真を見てくれて、もう一度廻って・・・、出口にいかれたのです、が。
また戻ってこられて・・・・しばらくベンチに腰を下ろして・・・。
その間私は別のお客さんと話していたのですが。
意を決するように、「写真撮ってくれますか?」
私たちの会話を妨げてはいけないと思って遠慮されていたんでしょうか、それとも「写真を撮ってくれ」ということが言い出しにくかったのでしょうか。
ずいぶんお待たせしてしまいました。

こんな狭い空間の中で、それぞれ小さな人生が展開します。
そして私と交わってできたこの写真が「人間交差『点』」。

さて、一昨日こんな報道に接しました。
TBSによれば「経団連の十倉会長は、防衛費の財源として法人税が議論されていることについて『広く薄く、社会全体、国民全体で負担するのが適切だ』と改めてけん制しました。」とのことです。財源を国債発行に求めるのも、それは違うと。
「広く薄く」とは大衆課税を財源にしろという事ですよね。つまり防衛費ねん出のために消費税を上げるという事です。自民党内からも噴出している議論です。
私はこういう発言を「盗人猛々しい」というのが適切だと思います。
まず、防衛費を増やして直接利益を得るのは三菱重工や川崎重工業などの一部の軍需企業であり勤労庶民ではないという事です。(そういう大企業の労働者は旧統一協会とも親和性の強い政治信条を持つ芳野友子委員長の元連合に組織され「トルクルダウン」の恩恵に浴そうとして投資協調路線に突き進んでいますが)
軍需品はそれを生産する企業がごく少数の特定企業であり、まさに独占価格で政府が買い取り膨大な利益を上げています。
軍需品は予算の段階では比較的低い予算額で国会を通過しても後年度負担でみるみるうちに膨らんで大企業が甘い汁を存分に吸ってきています。(京都の地下鉄みたいなものです)
そういう大企業は中小企業より税負担が軽くなる税制ですでに優遇されていますし、開発援助の名目などによる各種の補助金で助けられています。
一般国民は、こうした軍拡による東アジア情勢の緊迫に脅かされ、軍需生産企業とその番頭になっている自公政権によって、嫌中、嫌韓の意識を煽られて、アジア諸国民との友好に楔を打ち込まれて、友好の実現を阻まれています。
日露戦争の時に「ああ、重税」と大いに国民は嘆いたわけですが、この時に酒税やたばこ税の増税という、もうけた大企業ではなくて、一般庶民に重い負担が課せられたのと同じ状況を作ろうというのです。旅順に、奉天に血を流したのは主としてその重税を負わされた農民、労働者階層の息子たちでした。
財界リーダーの十倉氏は得るものは自分たち財界で独占し、その負担は不況、高物価、重税にあえぐ庶民の背に負わそうというのです。泥棒が追い銭を求めるものと言われても、あまり的外れとは言えないのではないでしょうか。
- 2022/11/23(水) 00:00:04|
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