西陣の織機もその多くは自動織機です。しかし、中には手織り機も依然として存在していますし、手織りの場合は大変高価なモノになります。
写真の男性が扱っているのがジャガードという手織り機です。

経糸については紋紙という厚紙に穴をあけたものによって経糸の上げ下げを支持する半自動化(半までも行かないのかな)がされています。
複雑で高級なもの、例えば能衣装などだと、多くの横糸が使われて熟練した職人さんでも一日にせいぜい3,4センチしかしか織ることができないというものです。

この人はこの分野では、最年少で、すぐ上の職人は60才台だそうです。
「技術は途切れたらお終いですから。」という言葉が重く響きました。
何かの折に一週間ほど機を動かさないと、「手指の感がなかなか戻らないですね。」

この人は普段は能衣装などに取り組む職場にいるんだそうです。
土日以外は女性がここに座っています。かなり知られた方だそうです(別の機会にそう聞きました。)。

伝統工芸の街、京都。伝統を引き継ぐ千年の都の地、京都などと言われていますが、その実態はお寒いものです。
何度も書きますが、文化庁が来たからといって随分画期的なように行政は宣伝しますが、それで伝統工芸の世界にあらたな風が吹いているということはどこからも耳にしません。 私が知らないというだけならいいのですが。

まあ、先ほどの能衣装とか歌舞伎などの衣装、そして高僧の法衣などにはこうした技術がふんだんに使われますから、先細りとはいえ、ついに消えてしまうということはないのでしょうが・・・・。

この人は今、金糸、銀糸を横糸として織り込む作業をしています。

金糸、銀糸は金や銀の箔を和紙に貼ったモノを細く裁断して作るのですが、そこにも別の職人の高度な技があります。そしてそういう仕事のできる人が大変高齢化して若手がいません。
彼が負っている伝統の継承・発展の思いが途切れることの無いように・・政治の変革も必要です。
- 2022/10/09(日) 00:00:02|
- 伝統工芸
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