万里の長城は陸の上に築かれたもので、水上に築かれた場所はここだけなのだそうです。
九門口といいます。
国境のすべてを土塁で囲ってしまおうという発想は、思いつきはするだろうけれど、やり始めようとはなかなか思わないだろうし、そしていざ着手し始めても、直に、「え~っ?!まだやらなきゃいけないの?!」と投げ出してしまいそうな事業です。
豊臣秀吉も京の街を囲って「御土居」を築かせましたが、これを見たら朝鮮侵略や、まして唐、天竺までも支配下に入れようなどとは思わなかったでしょうね。
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中国は不思議な国です。山海関に来て自動車を予約チャーターしてあったのですが、運転手は自分の車を他に回したのだそうで、別の車を使って我々を案内するのですが、その車の持ち主が「車を当てられてはかなわないから、自分も同乗する。」と既に定員オーバーのところを乗り込んで来るのです。いわく「席が足りないから後ろの3人席に4人乗ってくれ。」?!?!
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この車の持ち主というご仁は
ただついてきたのではなさそうで、いたるところで施設の関係者とネゴシエーションを始めるのです。それで結局、脇の入り口から入れたり、何やら入場料がおかしな風になったりするのです。それがどうやら我々の利益になっているのではないらしく・・・。そのネゴシエーションに…客を待たせたまま・・・ずいぶんの時間をかけるのです。もっとも妙な感じに奥まで自動車が入れたり、言葉がわからないからなおのこと狐に鼻をつままれた状態で・・
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ただとにかく我々には、待たされたり、席から半分ずり落ちたりするほかは金銭的には実害がないようで・・・。

ただ、ともかくいたるところに「小遣い稼ぎ」の口はあるようで・・・。
不愉快なことこの上なしです。

山の尾根の形状のままにうねうねと長城は続くのですから、結構な傾斜のところがあります。兵士たちは何を思いながらこの石段を上ったり下りたりしていたのでしょうね。
この長城を挟んで激闘があったわけではなし。長城内の政権が腐敗して衰弱しているところに、「蛮族」が水がしみいるように入り込んで、住みついたり交易を始めてしまうのですから、その堂々たる威容ほどには軍事的な役には立たなかったらしいのです。
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- 2012/05/21(月) 01:04:48|
- 瀋陽
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水上の長城は初めて知りました。
ここだけでもすごい規模なので、長城全体は想像もつきません。
北京の紫禁城を見学したとき、外国人ということで高い別料金を取られました。
- 2012/05/21(月) 22:56:00 |
- URL |
- Hudson Terrace #tLotD3lc
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車の持ち主の客人のもてなし方は、一般客とは違う特別枠を用いることなんですね。それに、その枠を得るための交渉に使う時間は惜しまないし、自分の利益もしっかり得る。「ちゃっかり」ってこういうのを言うんでしょうか。「私には時間のほうが貴重だよ」って伝えられたらいいのにね。
九門口の長城は、堅牢で重厚で「強いことは美しい」って言葉が浮かびました。
山肌が草木でおおわれていないのが日本と違っていて、水墨画の原風景ってこういうのかなって思いました。
- 2012/05/22(火) 20:54:47 |
- URL |
- Shin-Lu #-
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「想像を絶する」という言葉がありますが、中国の規模にはそういう面が多々ありそうですね。
私はまだ中国を顕微鏡でのぞいたようにしか見ていませんが、全土を、いえ、その三分の一でも回れば人生観も世界観も変わるかもしれませんね。
中国では・・といえるほど経験していませんが・・公共の施設の多くは無料で入場できるようですが、同僚の話を聞くと「なぜここでこんなに高い入場料を?!」と思うことがままあるようです。
パスポートを持っていて60歳以上だとか70歳以上だとかを証明できると無料であったりもするようです。ただし外国人には適用しないことも。
- 2012/05/23(水) 11:53:29 |
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- soujyu2 #-
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九門口に行く途中の車窓から見た山々や、麓の桃、梅の木々を見るとかつて学校の資料集などで見た宋画などを思い出します。雪舟などは写実というわけにはいかなかったでしょうけれど、中国の人の絵はおそらく、かなり写実的なものなんだと感じます。とても峻厳な山々の絵を見るとかなり空想的にデフォルメしてあるのだろうと思っていましたが、案外そうではないかもしれません。桂林などにも行ってみたいですね。
- 2012/05/25(金) 10:16:44 |
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- soujyu2 #-
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