街巡りを終えて帰路についていると、ふと目に留まるものがありました。一旦は通り過ぎたのですが、Uターン。
道路と家との間のわずかな空間にテンントを建てて何やら販売しています。そう言えばその日は25日で、北野さんの「天神市(あまりこの言葉を聞いたことがないのですが)」。その人通りを見越しての出店かな? 訊くとご自身がデザインしたものを伝統の技術『手捺染(ハンドプリント)』で染めた生地を販売しているとのことでした。

販売していたのは服部愛子さん。彼女のHPの記事の一部を紹介しましょう。
「近年、海外での大量生産や機械化の流れで衰退傾向にあった京都の伝統産業。
その現状に追い討ちをかけたコロナ禍で観光客の激減。
そんな京都では、コロナが収束してインバウンド(観光客)が戻ってきたら、小さな中小企業や職人たちは何もできない、百貨店がなんとかしてくれる・・・
そんな受け身の雰囲気のある現状を変えたい、ちっぽけな自分たちでも、それぞれが得意なことを補いあって集まればきっと変えられる。」

そういう気持ちで「京都のテキスタイルブランド”スピカ模様店”が伝統の技術『手捺染(ハンドプリント)』で染めた生地で多種多様な手仕事の職人さん達と繋がり、コロナでダメージを受けた京都の伝統産業の技術・手仕事の温もりを元気にし、現代に継承するため、日常に使える、おしゃれな商品にして全国の皆様に届けます。」という事でした。そのためにクラウドファンディン雲立ち上げ、100万円を大きく越える資金が集まったそうです。


そんな話を聞いていると背後から織機の「ガッチャン ガッチャン」という音が聞こえます。
えっ?!この場所でまだ織機が動いている?!
この人の祖父にあたる方がまだ織機を動かしているんだそうです。早速、覗かせていただきました。

お爺さまは御年88歳。ジャガードを操っておられました。高級な西陣織です。
服部愛子さんはこうした機の音を聞いて育った方ですから、京都の「糸偏」の衰退には人一倍心を痛め、復興・活性の道を求めているのでしょう。

- 2022/06/02(木) 00:00:07|
- 伝統工芸
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