京の職人さん、久しぶりの登場です。
京友禅。

絵柄の輪郭に糊を置いて(染料の浸出を防ぐためのものです。「ふせる」と言います。)その輪郭の中に「色をさし」ます。
記事の状態や、気温、湿度などによって染料の渇きが違いますから、むらなく一様に色をさすのにも神経を使います。

向かって右側には菊などの花が咲き乱れています。
そのあたりに色をさし始めると俄然華やかになるのですが、今のところやや地味な色です。
「ちょっと残念ね。」

筆には染料をたっぷり含ませて、カスレが出たり途中で染料を継ぐようなことはしません。
そのために含みの良い筆を選びます。

この方も、そして向こうに背中が見える方も「伝統工芸士」です。
全国に4000人余りしかおられない伝統工芸士の中のお二人。
京都にはその4000人余りのうちの約四分の一がおられます。

以前にも書いたことですが、とある地方の伝統工芸士の方が実演されているところ二出くわして、話しかけたところ随分気位高く応対されて並行したことがあります。
その場所は、中国の瀋陽でしたが、私が中国の学生と一緒だったので、日本の文化に触れる良い機会だと思って、学生二人を近くに招いたのですが「寄るな、触るな、控えおろう」という感じで学生も目を白黒させていました。

京都では、あまりに簡単に❓伝統工芸士さんと触れあうことができますし、えらそうにする方はまれで、多くの方は気さくで謙虚ですから、ついその調子で私が近づいたのがいけなかったのでしょうね。
もう亡くなられた方ですが、伝統工芸士で京の匠で叙勲者だった職人さんが、「そう言う名前を付けてもらって偉そうにしていたらこの京都では軽蔑されるだけだよ。そういう「称号」を持たないでずっといい仕事そしているものは幾人もいるからね。仕事の難しさをみんなよく知っているから偉そうにしたら恥をかくだけだ。」と言っていました。
- 2021/10/17(日) 00:00:03|
- 伝統工芸
-
| トラックバック:0
-
| コメント:0