京都駅に置かれているピアノ。 一般にストリートピアノというものは誰が管理し、誰が維持しているのか興味のあるところです。
ピアノとしては決して良い環境の下に置かれていないわけで、しかもこのピアノを利用する人はまさに老若男女、腕前もエチケットも様々な人が弾いていくわけですから、調子も狂いがちでしょう。
この日、ピアノの音に惹かれて、階上に上がっていくと、ピアノの前には接近禁止の赤い帯がされていました。
接近禁止なのに「音がした!」 はて?

その理由は「調整中」でした。
一か月に一度調律をするらしいです。これはなかなかの手間とコストですね。
この「誰でも利用できるピアノを置く」という事業が重視され大切にされているということが分かってちょっとうれしかったです。

それで、「今度の個展で駅ピアノを取り上げるので、調律の様子をぜひ撮らせてくれませんか?」とお仕事中の、ちょっと手の止まるタイミングを見計らって声をかけました。
するとこの方は一瞬置いて、私はいいのですが・・・、と。
すると間髪入れずに私の背後から声がかかりました。

その声は「ご本人が了解されるのならば構いませんよ。」というのです。 それで撮らせていただくことができました。
声の主はこの駅の方でこの事業の担当者だそうです。 うん、文化について理解のある方だなあと、すぐに思いました。
いえ、私に都合の良い対応をされたからといって、そう言うのではありません。

以前、こことは違う場所のピアノの前で、若い二人が「ほらこの音。 ちょっとどうかな。」と首をかしげながら何度も隣の鍵盤に続いてその鍵盤をたたいていました。どうやら微妙に音がはずれているのではないかというのです。
私にはそんな良い耳はありませんが、ピアノを弾く人は、殊に曲を弾いてみれば、「どうもおかしいよね。」ということが分かるのでしょう。林田さんならその鍵盤をたたくだけで、「四分の一違うかな。」などというかもしれません。

私はこの日まで知らなかったのですが、毎月一度、京都市立大学の協力を得て、卒業生、現役生のピアニストが出演してここでピアノリサイタルをしているんだそうです。
そして、それがこの撮影日の翌日。 その演奏会を機会に調律をしているという訳です。話は逆に起こったのかもしれませんが、とにかくこの演奏会も「定着してきたねえ。」と、翌日の演奏会の時の関係者のお話。
いいことですよね。

やはり、今度の個展にはどうしてもこの人の写真を入れたいですよね。
本当はこの周囲で耳を傾けて音楽を楽しむ人も入れたいのですがね。
- 2021/10/14(木) 00:00:08|
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