私が写真を撮る中で、一つのグループを作っているのが職人さんたちです。
それを現在完了進行で表現できるかというとやや心もとないですが。

この方を撮らせていただいたころは私自身こういう分野に疎かったですし、縁もなかったですから、興味津々でした。

今されているのは「紋意匠」と言われる仕事ですが、今ではほとんどコンピュ-ターに仕事を奪われてしまっています。デジタル的なというか、下絵というアナログなものをデジタル画像にするという、全くコンピュータにこそ得意な仕事ですから、防ぎようもないのです。

ただしかし、上流・下流の仕事の狙いや思いや癖や、・・などなどを「汲む」というまだまだコンピューターには届かない部分を持っているのですが、そう言う「勘」を生かした仕事ぶりが、今評価できるかというと・・・・・。

今はもう、この時点で「廃れてしまっている」仕事を、まさに博物館の資料的な意味で存続していると言っても良いような状況なんですね。
この仕事はほぼ「現役」ではないのです。
ですからこの方たちがお亡くなりになれば、この地上から消えてしまう種類のものでしょう。

前の文で「ほぼ『現役』ではない」と書きましたように、全く必要とされないのではなくて、実際は細々と生かされてはいるのです。
でも運命の趨勢は変わりません。

そう言うことを思いながらファインダーを覗くとついつい力が入ってしまいます。
撮らせてくれる職人さんも「撮っている=記録に残る」ということを感じながら写されてくれていると思いました。
もうすでにお亡くなりになった和田禅という方がおられます。型染め友禅の型を切る仕事を長年されて、その後、型切そのものを作品として独立させた方です。その和田さんが、ご自身の肉体的な寿命と仕事の命の灯を重ね合わせて、「撮ってくれよ。」とおっしゃっていたのを思い出します。

そうした機会に、私は写真に託されたものというものをひしひしと感じました。
写真はわたしの個人的な楽しみには違いないのですが、しかしまた極めて社会的なものだなあと思ったのです。
そう言う社会性を担いながら写真を撮るということもまた大事なことだな、と。

時事通信社は国会において「新型コロナ感染拡大に伴い全国で停止中の観光支援事業『Go To トラベル』をめぐっては、赤羽一嘉国土交通相が地域を限定して再開するのも選択肢の一つだとの認識を示した。
自民党の佐々木紀氏は『北陸、山陰、東北など感染が少ない地域限定で始めることはできないか』と質問。赤羽氏は『そういう声もたくさん出ている』と応じた。また、事業再開に当たっては『感染防止に強力な対策を講じなければいけない』と指摘した。」と報じています。
この人たちは一体何を考えているんでしょうか。 緊急事態宣言の中で国民は多くの不便を我慢して自粛してきています。それは誰もCOVID-19に罹患して苦しむことなく、ましてや亡くなったり後遺症を残すことなくするためであり、医療崩壊を立て直して他の病気やケガも含めて人々の安心を取り戻すためです。決してGo Toキャンペーンを一日も早くするためではないのです。
昨秋11月、政府がGo Toキャンペーンに固執したために、日本は世界にもまれな、全土に感染者が発生するという公衆衛生上きわめて不名誉な国となったのです。そのことを国民に対して謝罪しないばかりか、反省もしない政府と業界は、またしても、わずかばかりの好転を感染拡大の舞台に転じてしまおうとしているのです。言語道断です。少なくとも関東、関西を含んでのキャンペーンは止めるべきで、キャンペーンを仕掛けてアクセルを踏むのではなくて、せいぜい普通に旅行ができるというだけでいいとしなければいけないと思います。
感染防止策を講じると言ったって政府が何をするのですか?自治体は何をするのですか? それは人の移動を減らすことではないですか。至急に医療体制を拡充することではないですか。感染規模が減れば感染源の周囲を徹底的に検査して感染者を無症状であっても隔離することではないですか。
問題は飲食だけではありません。既に市中感染が広まっている状況にあって、しかも東京などの大都市にエピセンターができてしまっている現状で、それを収束させることなく、またもや人の動きを全国させれば、元の木阿弥になるばかりか、日本産変異ウイルスを作り出し、一層、対策に困難をもたらします。
大阪の吉村氏は「何時までも(緊急事態宣言を)ぐずぐず続けていないで」設定期間以前に解除するように努力するとか言っていました。東京の知事小池氏もまた同じ表現をしていました。この表現は極めて悪いメッセージを人々に送ったと思います。
多くの人々は、私も含めて、もう長い自粛生活に辟易しています。それを強いている緊急事態宣言の継続を「ぐずぐずと先延ばしされている」と印象付けることは極めて危険です。そこには「無意味にぐずぐず」というニュアンスが生まれてしまい、検査数を厳しく制限したために生じている、実態を反映していない「感染者数の減少」に希望を抱きたくて仕方のない人々の心理を、さらに一層、もう解放されてもいいじゃないかという風に誘導するからです。
TVでは、緊急事態宣言下でも外出者が多いと盛んに人々を非難がましく報道しています。感染者が減り切らないのは意識の緩んだ国民のためだという空気を醸成しています。が、自公・維政権や自治体首長自身が、そう言う意識を醸成し加速させていることを見誤ってはいけないと思います。
維新や小池氏などは人々が理性や知性としては、受け入れてはならないが、感情としてはそうあってほしいというものをうまく取り込んで人々を操作することにたけています。
私たちは賢くならないといけないと思います。
- 2021/02/09(火) 00:00:15|
- 工芸
-
| トラックバック:0
-
| コメント:0