ここに4人の方がおられますが、中に若手がいました。
数少ない後継者です。
彼の目の前にある円盤状のものがなんだかわかりますか。
「アイロン」なんですね。手作りのアイロンなんだそうです。オン、オフのスイッチが家電的で面白いですね。右手奥の方のアイロンにもこのスイッチがついていました。
アイロンなんて何に使うのかというと、このアイロンの下には揃えられた毛の束が広げられているのです。毛の油をとっているのです。毛にはもみ殻を焼いて作った灰をまぶしてその油を吸い取らせています。
このもみ殻の灰を作る仕事をされる方も関西では一人かな、二人いるかなという状況だそうです。

毛の中に混じった綿毛を取り除いています。このときに使う金属の櫛も作る方が数えるほど少ないのだそうです。

毛先にアールが施されているこの刷毛は布の広い面に染料を刷くために使うものなのだそうです。

犬や猫がこの動物の毛のにおいに反応して近づかないのだそうです。イタチや馬もありますから犬も猫も混乱するでしょうね。
先日私は広島で作られた筆を求めましたが、もう一度じっくり毛を観察してみようと思います。

この若者が職人として成長していくとき、相談する同業者も動物の皮から毛を刈る職人も道具を作る職人もいなくなっています。そしてもしこの若者が廃業すれば友禅の職人や書家はすっかり中国から筆や、刷毛を手に入れるようになるのでしょうか。
この青年には将来がどのように写っているんでしょう。
- 2012/02/29(水) 00:10:29|
- 伝統工芸
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