職人にとって道具は「命」でもある。その道具を作る職人、そのまた道具を作る職人。労働は連鎖をなしている。分業は労働(生産)を社会化する。
西陣の仕事の連鎖をどこかでつまみあげたらどれほどの職人さんが数珠つなぎに出てくるだろう。
友禅の絵を描かれる人たちの持つ筆、刷毛を作る職人さん。
会館2階の少し奥まった場所にその方たちはいた。昨日アップさせていただいた京友禅の方が「筆をつるる職人の仕事も・・。」是非見るようにと勧めてくださった。

手前にある幾本かの筆で実際に書かせていただいたが、穂先の長さにもいろいろあり柔らかさ腰の強さなどそれぞれ個性があって実に楽しい。
狸、鹿、羊などの毛を巧みに組み合わせることで墨の含みも異なり、しなやかも違ってくる。
剥いだ皮から毛を刈り取るにはとても難しい技術が必要なのだそうで、そうした技術をお持ちの方が奈良の方にお一人いるだけだとか。
その毛をそろえて毛先のないものを幾度も幾度も引き抜いていく。小型の刃先を巧みに使って毛先のないものを選りとっていくのだ。指先のわずかな感覚がモノを言う。


小学校のころにほんの一時期教えていただいた習字の先生は比較的細い軸に長い毛先の筆を使われていた。その筆先が実に色っぽくシナを作る。曲がる際、はねる時にくうっと腰をしなやかに曲げてすっと柔らかな線を描いていく。その技に幾度も見とれ憧れたものです。

ご婦人が細筆のよいモノは・・・と試し書きをして感心されていました。その方は絵手紙などをよく描かれるようです。友禅の絵を描く筆も作られているのですから当然しょうか。
- 2012/02/28(火) 00:04:09|
- 伝統工芸
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