千本通りの上長者屋町通りを東に5,60メートルほどはいったところに「工房 チリントゥ」があります。
夏のころだったか、自転車を走らせていてふと「紅型」の文字を見つけました。ガラス戸を覗くとそこには琉球の柄と琉球の色がありました。こじんまりとしたお店に入ってお話を伺うと「代表の戸谷真子」さんはお留守だということで、作品を見せていただくだけで、再来を告げて帰りました。
その再来がずいぶん遅くなってしまったのですが、先月お邪魔した際に「制作しているところ」を撮らせていただけることになって、今回の撮影ということになりました。
町屋の2階を工房にされて、制作のすべての過程を分業することなくお一人でされています。
全工程をこなす技術の持ち主ということです。
今、知識のない私に懇切にこの染めの特徴を話してくれています。
詳細はHP(http://tirinto.com)をお持ちですのでそちらに譲ります。

「素敵な人たち」を見つけては写真を撮らせていただいてきましたが、作画、作陶などの現場に入らせていただく機会はほとんどありませんでした。
今回ようやくその機会をいただきましたが、やはり照明がないと条件的には厳しいことが分かりました。

そもそも工房の照明は作業の助けになるために設置されているのですから、手元に灯りが向くわけで、決して作者を照らすわけではないのです。
当然ですね。

戸谷さんは沖縄で2年間知念というお師匠さんの下で「修行」積まれ、その後京都の大学で染色を学んだんだそうです。
師匠から学んだ「伝統の技法」の継承をとても強く意識される一方で、絵柄はただ伝統を模倣するのではなくて、ご自分の中にあるモノ、周囲の自然などを大切に新たな創意をこらしていきます。
ですから私が琉球の「絵柄」だと見たのは色遣いや独特の型染めの手法にとらわれて先入見で見ていたということです。

使用しているのは「染料」ではなくて「顔料」です。

乳鉢ですりつぶした絵の具を使います。
(⇔)

ですから毛先の長い筆でさらさらーっと描いていくというのではなくて竹に人毛を植えた毛足の短い筆で繊維に食い込ませていくような描き方をされています。毛も人毛のような弾力と強さが必要なのだそうです。
職人の仕事は「道具」で決まります。
こうした道具も自分でお作りになるのだそうです。そういう基本中の基本から沖縄で修行してきたのです。
テーマ:女性ポートレート - ジャンル:写真
- 2012/02/23(木) 00:13:02|
- 染色
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