鈴木さんは自ら子供たちに触れあっています。
小学校で体験学習に参加された経験からこんなことをおっしゃっていました。
「初め一時間か二時間でできる課題を設定して布に絵を描く指導をしたら『おっちゃん、こんなすぐできる簡単なものじゃ面白くない。もっと何かないの?!』と子供が言うんですよ。やり遂げたら本当に達成感のあるいいものを作らせることが大事なんやなあと思って一年かかるような大きな布と課題を与えたら、投げ出すことなくやりきるんですよ。いいものができましたよ。子供も喜んでいました。」

学校現場にある「どうせこの子らは・・。」という思い込みを反省させるような言葉でした。
私たち自身についてもそうなんだろうなあと思います。
自分自身、写真を撮ること一つについても「何を(どういうことを)目指すか。」で意欲も変わってきます。すぐにできそうなことばかりしていると「心も技術も伸びないんじゃないかな。」と。

鈴木さんの名刺にはこの業界での責任あるし度とをされていることが分かりますが、
「130人余りに組合員がいて、私より若いのは30人くらい。その人らも私とあまり変わらん。」
と業界の将来を心配しています。ここのみなさんが異口同音におっしゃることです。

「だけどね。しんどいからって言って本来の仕事をやらないで、当面収入になることをし始めると仕事が荒れる。」と大変厳しいことをおっしゃっていました。そうせざるを得ない現実を十二分に分かっておられる方の言葉ですから、職人としての矜持を強く感じました。
それは職人がそういう仕事をせざるを得ない現実に対する静かな怒りでもあるのでしょう。
ただ旧来の仕事に安住していていいのだというお気持ちはないように感じられました。

友禅の技術や業界のことや若い世代の育成などなどについてついついたくさんのお話をうかがってしまいました。
「写真を撮ってブログに・・。」という申し出に対しても、そういうことで少しでも関心を持てもらえればとこうして快く受けていただきました。
- 2012/01/30(月) 00:02:44|
- 伝統工芸
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