「グラデーションがきれいですね。」
「これは(職人の)腕じゃないよ。筆のおかげだよ。」
もちろん謙遜されているのですが、道具を使いこなしておられるからこその言葉だと思います。

筆の使い方を見せていただきました。
平たい刷毛のような筆は、毛の先が片方の端から反対の端に斜めにカットされています。
筆に水を含ませます。斜めにカットされたとがった方に染料を含ませると筆の中で次第に染料が広がってそこに「グラデーション」ができるわけです。その状態で布に描けばやさしい無段階の≒アナログなグラデーションが描けるわけです。

布の上で染料を少しづつ変えながらそれをしようとすると少し前のデジタル写真のようにグラデーションに「階段」ができてしまいます。上手く浸透し合わないのです。
筆の片方に赤を、反対に黄色を含ませれば「モミジ」の葉の紅葉のグラデーションが見事に生まれます。
こうすれば「誰がやっても・・。」という口ぶりですが、なんのなんのそうはいかないと思います。筆に含ませる水の量や染料の濃さ、染料が浸透する待ち時間などなど経験に裏打ちされたものがあってのことです。

ここには中国・台湾からのお客さんが多いのですが、日本のことに若い人に見てほしいなあとおっしゃっていました。
修学旅行生の姿もあまり見かけません。神社仏閣を見学させるのもいいですが、こういうところも小・中・高生に積極的紹介してほしいですね。
鈴木さんは・・・いただいた名刺からもうかがわれるのですが・・・子供たちの育成にとても関心をもっておられます。
こうした仕事を越えて幅広く活動されていますが「当面の収入を見るんじゃなくてどういう仕事ができる人間になるかを考えてほしいね。」と子供たちや子供を育てる人たちに期待しています。
- 2012/01/29(日) 00:02:39|
- 伝統工芸
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