三条御幸町に同時代ギャラリーがあります。
そこで今「死と生の巡礼」と題した写真展が開かれています。
年初めのこの時期は大方のギャラリーはお休みでして、ただこのギャラリーの写真展を見に行くためだけに出かけました。

総じていえば見るべき写真は貴志在介という若い作家さんのものだけだったと言えるような感じでした。
彼は立体造形や空間造形の作品で今まで私を刺激してくれていましたが、今回は写真です。

父親は彫刻家ですが、その父親を臨終のベットに寝かせて撮ったらしいもので、それが二人と居ないだろうという位に写真の表現にマッチしたモデルなんです。
その死に臨んだ、あるいは逝ってしまった男の傍らで一人はハンカチで目頭を押さえ、一人は作者自身で、その死体の顔を見つめているのです。

周囲に他の人の作品があるのですが、とにかく女性を裸にすれば何か意味のある作品になっているのではないかという様な、私にすれば醜悪としか言えない・・・・まさにその醜悪さを描き出したというかもしれませんが、醜悪さを描くというのと、それ自体が醜悪だというのは私は同じことではないと思うの訳で・・・・者が少なくありませんでした。
とても虚弱な精神というか、・・・・。

それに反して在介さんのものは鋭くも野太い精神が感じられて、会場に異彩を放っていました。秀逸です。
私は、見ていただいているような写真を撮っているので彼の作品からはとても厳しい視線を感じます。

ここ数年、一年に数度どこかでかわずかな時間顔を合わすことになっているのですが、ご両親も兄弟も皆芸術家という育ちで、彼の自立心溢れる制作精神はとても評価しています。
小島祐一氏と並んで私が注目する若手作家のお一人です。
- 2020/01/10(金) 09:49:57|
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