こうして偶然お見かけした人を、その場の条件の中で撮るということは、こちらに選択の余地はありませんから、ちょっとした〈試験問題〉的なことになります。
この条件の中でどうしたらいいんだという応用問題ですね。

どの方も顔や体のどちらから撮ったら、より綺麗に、あるいは可愛く、魅力的に・・などなどに撮れるかということがあります。
それで今、光はどちらから来ていて、その反射光はあるのかないのか、木々や雲の影はどうなっているのか。
落ち着いた雰囲気で撮りたいのか、撮れるのか。

笑顔が魅力的なのか、真剣な表情がいいのか、・・・・。
短時間でできるだけそうした情報を適切に判断することが求められます。
そしてその中で、自分自身の宿題というか課題を試してみることができるかどうか。

弁慶が1000本の刀を集めたその理由はどういうことか知りませんが、ただ2000人の人を撮る、そういうことを目標にしているわけではありませんというからにはそれなりの問題意識を持たねばなりません。
せっかく機会を与えていただいた、その機会を生かすことを考えないと、もったいないと思うのです。

職人の方がいっておられました。 弟子を育てるには失敗を経験できるだけの沢山の仕事が必要なんだ、と。
そうなんだろうと思います。失敗をさせていただける機会をいただくということはとてもありがたいことなんです。
そのお礼として、できれば「これいい写真ですね。」「これがお気に入りです。」といっていただける写真を一枚でも二枚でも撮って差し上げる。

この方の着ている着物と耳飾りの色が絶妙にマッチしていますね。
偶然だそうです。
でも、これを撮ってあげないと。

普段、交際の無い私だからこそ先入見にとらわれずにその人の魅力に気づくこともままあります。
そして、こんな風に素敵に見えましたよと見せてあげられることができると、こうして撮らせていただいた甲斐があるというものです。

この写真、今度の個展に使わせてもらおうかな。
- 2019/12/03(火) 00:00:21|
- 人物
-
| トラックバック:0
-
| コメント:0