この方による差し入れのカボチャのてんぷらの甘いこと甘い事。
盆にてんこ盛りのせられている。

私より小学校二回りも上の方なのにお元気なことこの上ない。
詩について語るときの熱い言葉、鋭い思索。
二十歳前に上京してたくさんの大先輩と交わった経験をお話しいただいたけれど、私などは本でしか知ることのない、しかも戦前から活躍されていた著名人、憧れの文学人たちがつぎからつぎへと登場するので、私の時間軸がずいぶん揺れ動いて錯綜してしまいました。

基地建設現場のゲートをくぐって入る大型の生コン車の運転席には若い女性たちもちらほら見える。
「あの若い女の子が、こちらに『ファックユー』の指の形、中指を立てて行ったよ。かなしいね。あの子たちネット上の右翼的な情報にまみれて、自身が「ネトウヨ」になって投稿してるんだよ。 沖縄に仕事が無いのがこういう事態を招いている面があるね。」

沖縄に全国の七割以上の米軍基地を押し付けて、その反面莫大な公的資金がばらまかれている。
その資金が沖縄の若者に職を保障する方向に向かっていないし、常に沖縄の相対的・総体的貧困は維持されてきている。それが原発立地と共通する仕掛けになっている。
そして投じられる資金と、しかし総体としての貧困は、一部の人の知性や良心を麻痺させ、病ませ、住民を分断する役割を果たす。

関西電力にとっての 福井県高浜町の元助役、森山栄治氏(故人)のような人物がきっと沖縄にもいるに違いない。
埋め立て工事にまつわる関連事業には潤沢に公的資金が投入されるから。
そういうことが沖縄にさらなる痛みをもたらす。そうした中でも熱ある冷徹な知性を保持して思索することの精神の強靭さを思う。

言葉は、古来戦う武器の有力な一つだ。
「ペンは、剣より強し」は日本の現実の前ではあまりに説得力がない。が、しかし、言葉が人を掴むや否や思わぬ力となることは歴史的にその例の枚挙に限りない。

人々がそうした言葉を手に入れることを恐れる政府は国語の授業で、事務的な言葉の習熟にその教育目標を変えようとしている。
言葉は自らを語り、対象を分析・把握し、人々と交流・連帯する武器であるのに、その翼をもぎ取ろうとしている。
詩人たちは、芸術家たちは、今何をなすべきなのか。
「詩人でも無ければ芸術世界を一知半解にしか知らぬお前が何を分かった振りして声高に言うのか!」と自問したところで夢から目が覚めた。
沖縄から帰るといつもしばらくはこういう心理状態が続く。
- 2019/10/30(水) 00:00:48|
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