麻谷宏さんが突然亡くなられた。
事情はよく分からない。
私はこうして人を写真に撮る活動を初めて8年半ほどが過ぎて来て、1500余名の方々を撮ってきた。そのうちのお一人で、出会いは4年余り前になる。

彼の個展会場でお会いした。
その時の写真をアップした方が良いのかもとも思ったのだが、その2年後に撮った写真にした。
ある不幸が彼を襲ったのちの写真だ。

今年の京都ファインダー倶楽部の写真展には「アラウンド団塊の世代±α の男たち」を取り上げたが、この人の写真だけ2枚その中に入れた。
たまたまそうしたのだが、その2枚はとても好評だった。アメリカ青年が「これは売ってくれないのか?」と尋ねたのがこの人の写真だった。
その時にはまさかそれから2か月ほどで彼にさらなる不幸が襲うなどとは思ってもみなかった。

最初に会って、彼と話し、そして彼を撮った。
彼に「描いているところが撮りたい。」というと「じゃあ頼まれている作品があるからそれを画こう。撮るがいい。」というjことになった。
彼が描く準備を終えると彼の意識から私は消えた。

翌日、撮った写真をプリントして彼に届けると「お前は俺の専属写真家になれ。」というので、応諾した。
「ただし『専属』というからにはあくびをしていようが苦虫をかみつぶしていようが何時でも好きに撮るから覚悟せよ。」というと、「それが専属ということだろう、好きにせよ。俺は怒らん。」

そうした会話は彼が私を写真家と認めたということだと私は勝手に解釈していた。
今日掲載している写真はある町屋を改装したギャラリーで彼が個展をしているときのものだ。

このとき彼は大きな不幸に襲われて、ま文字通りのどん底と言ってよい状況にあった。
その事があるまでは彼の作家生活は輝かしいもので作品もまた光っていた。
- 2019/10/25(金) 00:00:46|
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