正月三が日をどう過ごせばいいか。箱根駅伝や大学ラグビーばかりを見てテレビにくぎ付けになっているわけにもいかず、・・・いや観戦は好きなんですからそれでもいいのですが・・
なんと3日には「手作り市」があるというので高台寺近くまで行ってきました。
敷地も広大というわけではなくて、この時期ですし、どれだけの出店があるのか人出があるのか予想もつきませんでしたが、近くに八坂神社もあるし、「市」の開設はその人の流れを護国神社にということかな、などと勘ぐりながら・・・。
正月の出店で「お土産売り」「屋台」感覚のものが多いのかなと思っていましたらこんな力の入った作品の展示・販売がありました。
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この方は上野さん。ご自身を「鍛冶屋」だといういい方をされていました。
コークスを焼いて高い温度を得て、それで鉄を熱しては鎚で打つ。そういう昔ながらの手法で製品を作ります。
昔の様な鍋釜、農機具というような需要がないので、鍛冶職も「未来はないだろうなあ。後を継ぐ人もいないし。」と言われます。
ご自身は「師匠の下に弟子入りしたけれど5年ほどで『教えてもらう』ことに嫌になって、あとは自分で模索してきた。親方の仕事を耳で覚えて、それを指針にもしたけれど、今にして思えばもっと教えてもらえば良かった。」と。

「耳で覚えた」というところがいかにも「鎚打つ鍛冶屋」という感じですね。「トンテンカン、トンテンカン」という、今の若い人には知る由もない金槌と金床のリズムは私にとっても懐かしい。
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青く光ったようなところはステンレスなんだそうです。鉄とステンレスを組み合わせています。
「こういう技術も私らで最後かなあ」と話に一抹の寂しさが漂うけれど、現役としてのご本人は創作に意欲的です。
「鎚をこう打ってね・・・。」と身振り手振りで話してくれるその表情は、「とてもいい仕事なんだよ。」という確信に満ちています。

私が「写真を・・。」といい出すと「是非多くの方に知ってほしい」からといって積極的に受けてくれました。そしてとても寒い日だったので上の防寒具を着ていたのですが、「じゃあ、勝負服にならなくちゃね、とその上着を脱いでいつもの作業服になってくれました。
思いがこもります。

鉄の造形にはまだまだいろいろな可能性がある、若い人にもぜひ体験してもらって感じてほしいと、工房では体験もできるようにされているそうです。
興味のある方は、
「ウエノ工芸」さん。
京都府久世郡久御山町野村村東152-1 075-631-5565 へどうぞ。
http://www3.ocn.ne.jp/~artisan1/
- 2012/01/17(火) 00:03:57|
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