中央政府は勿論、京都市も府も本気で伝統工芸を存続させようとしているとは感じられません。
とにかく目先の利益を上げることに夢中で近視眼的です。
「日本に京都があって良かった。」などと言っていられるのは何時まででしょうか。

伝統文化の健全な存続と活性化はナショナリズムを厚くするためにも不可欠だろうと思うのですが、どうもそういう視点からもあまりお金をかけずに道徳教育か何かで事を済ませる安直を感じます。
他国を貶め空虚な自国誇りを煽るより先に自国のこうした文化遺産を現に生きたものとして成長させることにもっと心血を注ぐべきでしょう。

これまでも何度も書いてきましたが、少なくない職人さんたちはもう手遅れだろうと言っています。
そして職人さん一人一人の力ではどうしようもないほどの「限界状態」に既に達していると言います。
新自由主義的な発想では到底、こうした伝統工芸は存続しないでしょう。 存続できないのは人々の要求に応えられない業界の責任だから滅んでいくのも仕方がないなどと言ってのける人もいます。
こういう発想で文化を語るのはとても危ういし浅薄だと思います。

世界文化遺産への登録運動も、それが達成された暁での経済効果を正面に建てる議論がありますし、地方の文化遺産も「観光に役立つかどうか」をフィルターにする人たちが多いですが、こうしたモノの失われたもうかるものだけが残った平地で私たちはどういう精神的・物質的文化を呼吸するのでしょうか。
私は国粋主義者ではないし、日本万歳主義者でもありませんが、私たちが共同社会として誇りうるものを共有できないとすれば落ち着きと品のある共感しあえる社会を作りうるでしょうか。国際社会にどう生き残れるでしょうか。

有能な研究者や芸能者・芸術家、あるいは経営者や技術者たちが亡くなったという話を聞くと、その人一身に積み重ねられた知恵、知識、技能などなどが失われることを思います。

「民族的な文化」もまたしかりです。
- 2018/11/23(金) 00:00:32|
- 伝統工芸
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コメントお寄せいただきありがとうございます。
もっと多様な方々とお会いすることができればと思うのですが。
初見では話しにくいのかなあと感じられてもお話してみると魅力的な方がたくさんおられます。
これからも楽しみつつ続けていきたいと思っておりますのでよろしくお付き合いください。
- 2018/11/23(金) 10:39:34 |
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