このところ職人さんの写真を撮る機会がなかなか得られなかったのですが、久しぶりに撮ることができました。

この日はたまたま周囲に相当数の来客があってかなり騒々しかったのです。
それが原因したかどうか、この方を一見した時には相当気難しくて、ご機嫌もよろしくなさそうに感じました。
これまで私はそういう時には、波長の合わない方には無理に近づかないようにと、遠慮することが多かったのです。
ですが、・・・・。

いや、人はまず実際に話して見なくてはその人となりは分からない。
ここで怖じているのが自分の悪習だ、何とか克服しようと、一旦遠ざかりながら再び近づいてみました。

人を撮ると決めているのに、自分の方で勝手に想像上のバリアを作り出していることがあまりに多いからです。
「今筆に含ませて、ボカシに使っている液体は水ですか?」

「まあ、水なんだけれど幾分糊が入っているね。」
と、破顔一笑、実に細やかな説明をしてくれました。
写真では集中して描かれている作業の様子ばかりですから笑っているものはありませんが、実はお話をしながら笑みを浮かべながらの撮影です。

高校卒業以来ずっとこの仕事をされているのだそうで、出身は他県でした。
京都のこうした仕事は細かく分業されているのが特徴ですが「大概は自分でできるように全部勉強してきたね。」と。
プーチン大統領ともあろう人が「今思いついたんだけど…。」なんてことで他国との領土確定を含むはずの平和条約について、前提条件なしに平和条約(平和条約って戦争状態を終始する条約ですね。・・・・1951年の「サンフランシスコ平和条約」が「片面条約」であった名残がいまだに解決されていないのですよね。つまり未だに法的には日ロは戦争状態だということで、歴代自民党、自公政権の無能さを示しています。)を結ぼうという提案をしてきました。それに対して右派的な「知識人」「評論家」は一斉に「北方領土問題を棚上げにしての平和条約締結なんてありえない」とロシアを激しく非難しています。その発言のあったとき安倍氏がニコニコと聞いていた場面がTVで流され、しかも菅官房長が「ロシアの平和条約締結の意欲の現れ」という評価をし、安倍氏も同様ということで、右派勢力の中からも「なんてことだ!」と非難の声が湧いています。共産党の志位氏もまた安倍氏に対して「外交」の能力、識見の無さを痛烈に批判しています。
自民党の諸君は「北方四島」というくくりをして、それを返還せよとロシアに迫っています。しかし、そもそも北海道の一部である歯舞諸島、色丹島と、千島列島の南端である国後、択捉島をごちゃまぜにして、サンフランシスコ平和条約締結時にアメリカの圧力(背後には米ソの密約があった。)によって領有権を放棄させられた「千島列島」とその千島に属さない北海道の一部とをまぜこぜにすれば「返還せよ」と迫る根拠が違うのです。だから話がそもそものところで躓きます。
北海道の一部である歯舞・色丹島はサンフランシスコ平和条約時の「領有権放棄」の対象ではないのですから、どのような理由によってもロシア〔当時ソ連〕の占拠は不当であり即刻退去すべきものです。
千島列島については連合国であった米ソ間の密約があり、その結果、日本が領有権を放棄したことになったとしても、だからといってそれをロシアが領有してよい公然たる理由はありません。第一次大戦後から、戦争終結時の「無併合」の原則が国際基準です。
ですが、日本政府(吉田内閣)が「領有権の放棄」を受け入れてしまったのです。(琉球列島についてもアメリカの軍政支配の継続を認めて実態として主権を放棄してしまいました。それが程度の差こそあれ今でも続いていることは北でも南でも日本は主権を回復していないと言うことでしょう。)
米ソの密約は不当なモノであり、日本政府は千島列島の領有権放棄を受け入れるべきではなかったのです。よしんば敗戦国としての当時の力関係では飲まざるを得なかったとしても、改めてその密約の否と、領有権放棄の強制について不当を唱えて米ロに詰め寄るべきです。
それは敗戦国だからと言って受け入れる必要のないものです。
また自民党は返還されるべき千島を南千島に限定して北千島については領有権回復を主張しない点でも、論理に整合性がなく、密約取り消しも領有権放棄の取り消しも説得力がないのです。
そういう意味で二重に三重にもボタンを掛け違えているのは、そこに日ソ〔日ロ〕の紛争の種を仕込んで、反ソ〔反ロ)のナショナリズムを掻き立てる道具にしているからです。
つまりは解決する気がないのに「北方領土を返還せよ」とあたかも主権を守る自民党を演出しているのです。
たとえどのような些細な可能性からも北海道・千島の領有権を回復し、主権を主張しようとするのならば、今回のようにプーチン氏が領土問題はしばし棚に上げて「平和条約」を締結しようと提案した時に敏感に反応するはずだと、私は思うのですがいかがでしょうか。
ただ私は個人的には・・・・例えば中ロの領土問題が、長大な国境線について、戦争を通じてでなく、交渉で確定するという注目すべき前例がありますから、理性的に交渉によって解決すべきだとは思いますが・・・・21世紀の国境については、100かゼロかの排他的主権を相互に主張するのではない解決もあっていいのではないかと思います。
日米安保が存続する状態で千島列島を日本に返還することなどロシアにはあり得ない選択だということを考慮すべきだと思います。返還されて、我が領土なんだから何をしようと我が国の自由だ、沖縄並みの自衛隊・米軍基地を作ろうなどということになれば、東アジアの新たな緊張を作り出すことになります。それは中国も北朝鮮・韓国も望まないでしょう。ロシアはそれらの支持を背景にできます。
取り戻した以上ロシア人はすべて退去せよという考えで問題が解決するとも思えません。
かつて領有権放棄を受け入れるという日本政府の選択に泣かされた千島の人々の苦難・悲しみを、戦後政治のしがらみの中で居住することになり現に生業を起こし生活しているロシア人に味あわせても平気だというのでは、解決は難しいと思います。
法理的に、道義的に筋を通すことは当然の原則であり、それに尽くすべきではあるにしても、一方で政治的な落としどころも模索しなくては現実は進まないと思います。
(自公政権は「北方領土問題」も沖縄の米軍基地も「必要」だと考えているようですから、自公政権では解決の見通しはないという事ですね。)
- 2018/09/16(日) 00:00:48|
- 伝統工芸
-
| トラックバック:0
-
| コメント:0