シンガー・ソングライターですから、川口さんの歌う歌には彼女自身の強い思いが込められています。
18歳の頃の詩に曲を付けたものもあると言いますから、ずっと「思い」が積み重なっていたのでしょう。
誰かが詩を書き、それにまた別の誰かが曲を付けたものを、また別の人が歌う。そういうCDづくりもあります。といか、「流行歌」の多くはそういうものでしょう。

再現芸術といいますか、例えば劇や音楽、落語・浪曲などのたぐいは自作自演ではない場合が多いですから、自作でなければいけないということはないと思います。
が、ご自身の思いを歌う場合の強さ、濃密さ、切実さはまた格別だと思います。

彼女が歌の背景を語るときの表情には魅力があります。

川口さんは、自ら「問題」のただなかに自身を置いて、そこで肌に、魂に感じることを言葉に紡ぐタイプの人ですから、その場に共にいた人々の思いが色濃く反映します。
ですから決して独りよがりの独善にならないし、そのうえ間の所の強さは、周囲にただ追従して拍手を得ようとする卑屈さがないというところです。

仲間に対してもきちんと批判できる精神の独立性が彼女の魅力の一つです。
広くつながろうとして心を開き両腕を大きく開くと同時に、そこに埋没したり興奮だけで「一体」を演じるような理性を欠くということがありません。

もしそうでないならば人から信頼されず、かえって連帯を損ねます。
私の歌を聞いてほしい、知ってほしい、口ずさんでほしいという思いは強くても、いわゆる「売れる」ことを考えるような歌手でもありません。
ですから、私もまた彼女のCDがもっと多くの人の手に渡り聞かれるようになってほしと思うのです。

- 2018/07/03(火) 00:00:11|
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