中国遼寧省瀋陽市に行っていたころに、故宮近くの建物の中で水墨画を描かれ販売している作家さんに出会いました。
私は言葉ができませんが、とにかくジェスチャーと半端な英語で話しかけ、描くところを撮らせてほしいとお願いしたことがあります。
ご存じのように東北地方はかつて日本の関東軍が謀略と軍事行動で侵略をほしいままにし、満蒙開拓団の名で日本の庶民が侵略の片棒を担いでしまたところです。「反日教育」のあるなしにかかわらず潜在的に日本に対する嫌悪感なり憎しみがあっても極めて当然の地方です。そういう歴史的事実を無いことにして「反日教育」を言い立てる政治家やそれに同調する人がいるからなおのこと日本は中国人に信頼されていないだろうなあと予想して行きました。

私が日本人であることを伝えて撮影の許可をしていただけるようにお願いしたのですが、その水墨の作家さんは満面に笑みを浮かべて、どうぞどうぞと好きなように撮らせてくれました。
別の建物では書や油絵、又先ほどと同じような水墨作家さんたちが同じ広い部屋で制作し販売していました。
そこに行った時には学生たちが私を紹介してくれて「写真を撮りたいがいいか。」と尋ねてくれました。
やはり大歓迎でした。
そして書家さんが私にあてて書くのだという添え書きをして「中日友好」と大書してくれました。 その書はいまも私の部屋にあります。

周囲にいる作家さんたちの暖かい視線に囲まれて一緒に写真を撮りましたが、胸が熱くなったことを思い出します。
水墨画家がブドウの絵を描かれていましたから、沙海さんが同じようにブドウを描くところを見て、その時のことを思い出していました。

中国の方はもう少し葉に濃淡を強く付けて陰影が濃かったし、ブドウの色も深い紺色をしていたと記憶しています。
先に描いた画家もそうでしたが、沙海さんもまた対象をすっかり手の中に入れて、自在に描いている感じがしました。

沙海さんは台湾の方々との交流をお持ちのようです。
この会場にも台湾出身の女性が沙海さんをこまごまとサポートされていました。

こういう撮影の時にいつも気になるのはシャッター音です。
それに私だけ周囲を動き回りますから・・・・・。

でも、そういう『雑音』は少しも気にされずに集中して描かれるのはさすがです。
貴重な時間をいただきました。
- 2018/06/12(火) 00:00:13|
- 絵画
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