西陣織物会館では西陣織や京友禅の名工たちが実演を見せてくれている。
先日、伺った時にはこんな方にお会いできた。
お仕事の様子を撮影することはできなかったが、長々と御話し相手をしてくださって実に貴重な話が聞けた。
そのキャリア「75年」の「人間国宝級」の職人さんだ。箔のお仕事をされている。

ついつい話に夢中になって技を拝見することができませんでしたが、ブログのことをお話しすると「結構気ですよ。」と快諾していただけた。「若い職人さんや作家さんの励みになりますので、」とお話したのです。「自分にできることなら、・・。」と言われるのですが、

国から勲章も受けている方です。叙勲が云々というより15歳で弟子入りして75年の間現役で仕事を続けてこられた間にはいろいろなことが・・・召集されたり、戦後の混乱期を生き抜いて来られたり、バブルで二百数十万円もする帯を「ポンと現金で買って行かれた人がいた。」こともあり、そして今日の衰退を経験されている。

それでも、職人として人に言われた仕事を淡々とやり遂げてきたばかりでなく、自分の創意を生かせる仕事にも恵まれたことが幸せだとおっしゃって、今なお創作に意欲を見せておられることが素晴らしい。
私があまり根掘り葉掘りお話を伺ったのでお疲れになったんではと心配でしたが、「こうして人と話をし、作品として仕事を発表できる機会も持てる。幸いにも耳も聞こえ目もまだまだ仕事ができる。職人として幸せなことだ。」と実にお元気だ。
91歳になるこの方からすれば私などは文字通り『鼻たれ小僧』だ。

こんなに話をした人も多くない。記念に色紙をあげようとおっしゃって「箔」で描いた色紙に署名し、落款までしていただい。
実に貴重な時間だった。
- 2011/11/29(火) 00:03:26|
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