哲学の道の秋を撮りに行こうとして、ギャラリーを見つけました。川沿いに柿の実がたわわな樹がありましたので近づくと、そこにギャラリーがありました。このギャラリーは安楽寺が運営するもので「花いろ」といいます。お寺や教会が保育園や駐車場を経営するのはよく見かけますが・・・。
安楽寺といえば宮中女官の松虫、鈴虫の姉妹が浄土宗にこころを奪われて御所を抜け出して出家し剃髪してしまい、それを知った後鳥羽上皇が激怒して法念をはじめとする浄土宗の主だった者に厳しい弾圧を加えた事件を思い出します。松虫、鈴虫に法を説いたのが安楽寺の僧住蓮、安楽だったのじゃなかったかなあ。
このギャラリーで個展を開いていたのが田邊慈玄さんです。
田邊さんの以前の個展の紹介文章に「日本人が受け継いできた共有財産である、日本の伝統美術、文様の美を、画法や形にとらわれることなく、あらゆる組み合わせと実験的なテーマで、新たなものを生み出す。」とありました。
絵を見て「着物の図案?!」と思いましたが、和布団の図案だそうです。いえ、和布団の図案だけでなく大きいものは屏風絵からポストカードほどのもの描かれています。
若いころはイラストレーターとして活躍され、たくさんの仕事とある程度の収入にも恵まれたんだそうです。が、忙しすぎ、自発性の見えなくなってきた仕事に倦むようになり、職場を離れて外国に出て学び、そこで転機を迎えられたとのこと。
背後の絵はたくさんの雀たちです。田邊さんは富山市にお住まいで、庭に来る雀たちとのことです。

友禅の職人さんたちの仕事にもお詳しくて、「とても高度な仕事をしている職人の仕事が報われていない。」ことを・・・田邊さん自身はキャリアをつまれ寺院の襖絵を依頼されるなどすでに地位を確立していますが・・・我がこととして受け止めておられました。

技術を軽視しないで積み重ねることも強調しておられました。

昨年、安楽寺で開かれた展示会のハガキをいただきましたが、そこには狩野派のような襖絵が見えます。田邊さんの作品です。
一輪ざしのような水仙の花も描けば、迫力のある竜の絵も描くといった風に自由に題材を選び手法も多様です。

住所も記帳してきましたので、次の個展も見逃さずに済みそうです。
- 2011/11/20(日) 00:01:15|
- 人物
-
| トラックバック:0
-
| コメント:0