個展の会期に入っているはずなのにどうしたのかな・・・と思いながら、時々制作が間に合わなくて・・・という事もあるので、とにかく足を踏み入れてみました。
制作の過程そのものをパフォーマンスとして作品にしている場合もあるし・・・・。
それにしてもあわてず騒がず穏やかな良い空気が流れています。
今立ち上がっている方が作家の渡部氏です。
手前に銀色に光っているものが作品のコア的要素になるようです。

ネジ一つからご自身が図面を書いて、制作しているのだそうです。
「自分自身が作りたいものがあって、そのために必要な部品があって、それがすでにこの世に存在している・・・・、と、そういうことはふつうはないんじゃないかな。だから自分で作るというのは当たり前至極のことなんだよ。私は作家だからね。」

「無論、規格品を使って作る人がいても、それはそれでよいのだけれど、少なくとも私はそうではないね。」
機械工業によってメーカーで作られたカメラとレンズを使っている私にとっては、かなり考えさせられるお話ですね。

金属材料の裁断も、穿孔もねじ切りも、ご自身でコツコツされているのだそうです。
ですから素材づくりにとても長期間かかるのですが、「同じ作業を長い長い間繰り返しているときに、別の構想が次々に浮かんで作りたくなる。」のだそうです。

お尻の下の木箱に数千の部品が入ってい居るのです。
会場に部品を搬入されて二日がかりで組み立てていきます。 制作途中ですが「撮影してもいいですか。」というお願いを快く受けてくれました。
そして私があれこれ疑問をつぶやくたびに腰を上げて丁寧に図面を開き、また実物を見せて説明をしてくれました。

図面はT定規やコンパスで厳密に書かれているかと思いきや、ほとんどフリーハンドの図に寸法が書き入れてあるばかりの図面でした。
「制作はどこか専門のところに発注するのですか?」 「それをしたら作家としての制作じゃなくなてしまうだろ?」
それで図面は誰かに見せてご自身の意図を伝えるためのものではないので、つまりアイディアの発信者と受信して製作するものとが同じなので「これでいい。」のです。
私は、ある意味で、意を得たりと思いました。
- 2018/02/03(土) 00:00:26|
- オブジェ
-
| トラックバック:0
-
| コメント:0