実は今日登場する人も京都造形大です(ただしこの人の場合は他大学から大学院へですけど)。
同時代ギャララリーで造形の大学院在学生のグループ展(京都造形芸術大学大学院 日本画六人展)が行われていました。
ここの作品を展示している人は、大学では「模写」を勉強しています。
古美術に属する絵を模写するのです。 それは時間とともに劣化していく絵を復元したり、補修したりする技術につながりますし、照明をあてると劣化が進んでしまう貴重な絵を模写してその複製を展示するなどの仕事につながります。文化継承の点でも観賞・普及の点でも貴重な仕事ですし、高い技術が要求されます。
応挙や雪舟、あるいは絵巻物などの「水準」で模写するということを単純に考えただけでも尋常なことではないと思います。しかも古色にしたり現時点での劣化をそのままに描くということもあります。
文化史や紙、表装などの技術史などだけではなく、どんな顔料、染料をつかっていたかなどを調べるためには化学や物理学などとの連携も必要になってきます。
こういうことに地道に取り組んでいる若い世代にエールを送りたいと思います。
この人たちの模写の作品と並んで、その取り組みの中で培った技術を生かした新たな創造的作品も展示されています。
応天門の変のいきさつを描いた『伴大納言絵巻』の一部を、巻物の形で・・・これもこの人が自ら製作しています・・模写していたのが、この人です。
民衆が生き生きと描写されるおなじみの場面を描いていました。

普段は模写の勉強をしながら、その一方で描いた絵が彼女の左手のものです。

作者の「日常」から取材して描いたそうなのですが、歯医者の薬棚と、別のもう一枚は医療器具です。
実はおじいさんが歯科医だったそうで、この人にとってはまさに日常の風景だったのですね。
私にとってはとても非日常ですが・・・。
こういう写真の撮り方をするようになってからは、ほとんど初対面で撮らせてもらっているので、その人の「日常」を知らないで撮っているわけです。

「こうした場面ではこうした表情をする方だ」ということにしかならないかもしれませんが、日々の努力の結果としてこういうものを生み出している人だ、逆にこういうものを生み出すために日々励んでいる人だということを伝えたいなあとは思っています。

目に光を入れるために無理に少し上を見てもらいました。なにしろ暗いギャラリーですから私には難しいのです。
私の思い入れは別として「撮ってもらってよかったなあ。」と思っていただけるようにはしたいのです。

何かポーズをつけることはほとんどしません。多くの場合かえってぎこちなくなるからです。でもこうしてブログのURLを描いたカードを渡して、その瞬間などに・・ふとした動作の時をねらって・・撮ってみます。

そうすると少しだけその人の「いつもの」表情が覗くように思います。
しっかりした性格のよさそうな方でしょ?!
- 2011/11/11(金) 00:02:42|
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