「寺ぶら」は私の数少ない楽しみの一つです。「寺町通をぶらりぶらりと歩く」のを私が勝手に「寺ぶら」と呼んでいます。
この寺町通にはたくさんのギャラリーや骨董店があるのです。
ところがこの日、あまり利用しない河原町通を自転車で南に下っていると、二条通りに至る手前のギャラリーに印象的な色遣いの絵がかかっているのを見つけました。
このギャラリーはこれまであまり覗いたことのないギャラリーでした。
なんだかいつもはよそよそしい感じを受けるその画廊にふと入ってみようという気になったのです。
中から色が誘ってくれていました。
点描画と、省略と単純化によって面と色彩で風景を描いたものとが展示されていました。

小林さんは元来、織物の意匠(デザイン)をされていたのだそうです。で、デザイン的な発想や手法の絵が多くなるのも当然なのですが、油絵の自画像が奥の正面にあって、画力を示していました。
まあお掛けなさいという勧めに従って、お話を聞かせていただきました。

上の写真の背後にかかっているのは鷹ケ峯・光悦寺、知恩院石段を描いたものですが色彩がユニークでしょ?!
それに省略が活きています。

お年は70歳だそうですが、年が若いから創造性があるなどというのは迷信だということがよくわかります。
これが今回の個展の案内はがきに使われた絵です。
余計なものを一切削り落として、ここまで簡略化しても明確に東福寺の通天橋を見上げたときの紅葉の様子であることが分かります。しかもその華麗な紅葉の景色が彷彿としてきます。

写真を撮らせていただいていて、
せっかくですから全身像も・・とお願いすると、
「じゃあスーツを着ましょう。」と上着を着てくれましたが、なんとおしゃれなことでしょう。
「誂えの服が何着もある・・。」とのお話。そういえばネクタイも決まっています。さすがデザインと色彩の勉強をしてこられた方ですね。
年齢を重ねて少しお痩せになったのでしょう。幾分服が余ってしまっていますが、洋服仕立職人の息子としてはこの服の良さが分かるつもりです。

油絵も含めて「良い先生につかなければだめだよ。そして全部吸収するんだ。」と幾度も繰り返しておられました。
「厳しい先生がいい・。」とも。

この光悦垣の絵が一番のお気に入りなのだそうですが、垣を組んでいる竹が金色と銀色で描かれています。この辺りは織物の経験でしょうか。
- 2011/11/02(水) 00:03:35|
- 人物
-
| トラックバック:0
-
| コメント:0