工芸と言って良いのかどうか少々疑問ですが・・・・。

この方たちの仕事・綜絖を担っているのは「京都(西陣)に10軒ほどやから、それは世界で十軒いう事やなあ。その家に働き手がおらんくなったら、それで終いやなあ。」

ちなみに、綜絖をネットで調べると、「ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説」として紹介されているのが次の説明です。
「綜絖
そうこう
heald; heddle loom
ヘルドともいう。織機の一部品。緯 (よこ) 糸を通す杼 (ひ) 道をつくるために経 (たて) 糸を運動させる用具で,主要部は絹糸,カタン糸,毛糸や針金でつくられる。綜絖は経糸を通す綜絖目と,その上下に連なっている糸から成り,竪針,開口タベットの運動を経糸に伝える。 」
この説明で、事の何たるかをすぐさま理解し、イメージを持てる人がおられれば、まさに掛け値なしに「脱帽」に値すると思います。

私の写真をご覧になりながら、もう一度、二度三度よ見直されても「ああ、そういう事か。」と得心される人はそう多くはないと思います。
百科事典マイペディアの解説では、
「綜絖【そうこう】
ヘルドとも。織機上の経糸(たていと)を,目的とする織物組織に応じて上下に分け,緯(よこ)糸を通す杼道(ひみち)を作る織機の重要部品。糸を編んだもの,針金または薄板金製のものがある。」
とありますが、先の説明と大同小異ですね。余計な素材名がないだけ、まだ理解を混乱刺せる要素が少なく、ましとは言えるかもしれません。
上の写真の職人さんの間の前にたくさん垂れ下がっているひも状のものがそれです。
指の先辺りに「綜絖目」という穴の開いた小さな部品が見えますか。
その穴に手渡された縦糸を一本一本かぎ針で引き取って通すのです。
これを縦糸の数だけ何千本も通します。

こうしておけばある紐を引き上げれば、その経糸が引き上げられ、その他のものとの間い隙間(これが『杼道(ひみち)』ができますから、ここを横糸を巻き付けた杼を通すのです。
そうすると経糸の下に横糸の、糸一本分が出ることになり、それが模様の一点となるという訳です。
ですから絵柄は布の下に描かれるということになりますね。

経糸をこうして「綜絖」に通してなければ食器にかけて経糸と横糸を「織る」ことはできないということになりますから、基本中の基本の仕事ということになります。
この仕事も次の折の内容を知っていろいろ工夫を凝らすのだそうですが、熱心に説明をしていただいても到底その場で理解することは無理でした。

通常は・・・・家内工業ですので・・・・家族で組んで仕事をするのですが、ここは実演おばですから、今日だけのコンビだそうです。
手前の方が80歳、向こう側の方がこの仕事をされている中で最も若手。

この仕事の前段階には糸を整然と経糸として並べる仕事もあります。それはまた別の職人さんの専門職。
西陣はこうした多くの分業によって構成されているのです。
そしてその各分野の職人さんはその多くが60歳以上なのです。
- 2017/02/25(土) 00:00:15|
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