寺院に伝わる様々な刺繍を繕っています。
こうしたものは50年100年の単位で寄進されたりするのだそうで、寺院で公開されるのは一年に一度とか二度というようなものも多いのだそうです。
それが100年150年と受け継がれていくうちにやがて少しずつ痛みます。

しかし、仏に寄進したモノを痛んだ
からと言って、ハイ捨てましょうという訳にはいかず、多くの寺院では収蔵されたままになっていることが多いのだそうです。
それで継げるところはできるだけ活かして補修しながら次の世代に受け渡していくこの仕事が、受け入れられたのだそうです。

刺繍された部分の生地を切り抜いて縫い付けています。
そして刺繍自体もまた補修繕されていきます。
ところで、この方、色白なところややや細身なところ、額の形などことなくある女優さんに、似ていませんか。

俯いていると余計にそんな感じがします。
もう一人似ている人がいるように思うのですが、それが誰だったか思い出せません。

キャリアはまだ10年に満たないのだそうですが、成長著しくてなかなか優秀な技能の方らしいです。

照明はLEDライトの様でかなり明るくなっています。
LEDライトでないと「光で変色したり劣化してしまうので・・・。」という事でした。
鮮やかな赤の布地を広げていますから、白い肌に強く色かぶりしています。
それを調整しようとすると刺繍の方が現物の色から遠ざかってしまうので悩みどころです。

それにしても豪華なものですね。
周囲には鳳凰や孔雀の見事な先品が掛けられています。
伏見の工場にはかなり高齢の職人さんもおられて「年を取ってもできる仕事だから、続けられるように仕事を取りたいのですが・・・。」と。
注文に時間的な長い大きな波があるのだそうで、そういう中で経営に苦労がおありのようです。
でも職人さんたちを維持し、こういう仕事で社会に役立っていこうとする気持ちが責任者の方からひしひしと感じられました。

それを耳にしながらこの職人さんも安心して仕事に励めるだろうなあと思いました。
- 2017/02/05(日) 00:00:56|
- 伝統工芸
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