先日ある写真ギャラリーに行きますと、そこにカメラの展示がされていて、関係スタッフがおられました。
私がいま最も関心のあるカメラの一つでしたので、近づいてカメラに触れてみました。
そのカメラは
「操作性を追求したダイヤル類」
「電源がOFFの状態でも設定を変更することができ、次の撮影に備えることができます。」
とその特徴をうたっているのですが。

フイルムカメラ時代には、いったんあるフィルムを入れてしまえばその後に感度を調整することはできませんか。ですから、一般的には絞りとシャッタースピードの二つを調整すれば露出が決まり、ピントを合わせればそれで写真はほぼ決まりです。(むろんレンズの選択やフィルターの問題など他にもいろいろな要素はありますが)

「絞りとシャッタースピード」
これがまず第一歩で最後の一歩と言って良いと思います。・・・・いや、そうじゃなくてフィルムの選択から始まるんだよなどというご意見はまあ横に置かせていただいて・・・。

最近の電気的なカメラでは、まずスイッチをオンにしてから様々な条件を設定するものが大半でした。
それが、また新たにファインダーをのぞく前に諸設定を確認・変更できるようにされた「直感的に操作」するカメラが出て来ました。 私はこれを歓迎しているのです。
そういう点でも先のカメラが関心の的なんです。
カメラボディー上部にシャッターダイヤル、露出補正ダイヤル、感度ダイヤルなどが並び、スイッチをオンにしないで目で見て「直感的に」条件を設定できるのです。
ところが・・・・その設定項目の中に、とてもとても大事な「絞り」がないのです。絞りはスイッチをオンにしてファインダーを覗いてダイヤルで調整してください」とのことなんです。
これっておかしくないですか?

私は是非ともレンズに絞り値を刻印するべきじゃないかと申し上げたのです。
だってスイッチをオンにしなくても設定を目で確認でき変更できるということが売りなんですから、と。
このカメラの製造会社が作っているレンズには絞り値が刻印されているものもないではないのですが、このカメラに相応しいですよと並べられたレンズ7,8本のすべてに刻印がありませんでした。
つまりスイッチをオンにしてファインダーを覗いて、それで絞り値を知るという段取りなんです。
これではコンセプトから言って不徹底ではないかと申し上げたのです。その意味がその方には腑に落ちないようでした。
「ファインダーを覗いて撮っていただくカメラなので・・・・・。」
「????? そのファインダーで被写体をしっかり見て撮るというのがもう一つのコンセプトではあるが、そのことと設定状況をファインダー内で確認すると言うこととはまったく別問題ではないのですか?」
話は少しも噛み合いません。
「ファインダーを覗いているときの没入感と、自然と脇が締まり、体の中心からレンズの先の被写体までが一直線に捉えられることで、あたかも自分とカメラが一体になったかのような感覚で撮影を楽しむことができます。」
というのはファインダー内の数字をあちこち見ていてできることなのだろうか。
昔はともかく、今の私は、この人は理解する条件の無い人だと思えば話をやめます。無理してもお互いにいいことはありませんから・・・。
そう、無理しなくてよかったのです。

すっかりEVFになれ切った人とそうでない者とではすでに根本的に発想が違うのだということに、後で気づきました。
なるほどそういう事だったのか、と。
電気カメラになってEVFになって・・・ということが開いたものは、私の写真観からは別の世界への扉だったのでした。
- 2016/11/10(木) 00:00:08|
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