西陣織の図案を描かれる職人さんです。
こうして公開の実演をしてくれています。
海外からのお客さんが多いのでいろいろな言葉で話しかけられます。(この女性はたまたま日本語がお上手です。)

ご自身の来し方にはずいぶんご苦労があって、しかし、今日までこの仕事を続けてこられました。
その内容はここにはむろん書けません。
方眼紙に描いているのは、この図案を縦糸と横糸の関係に置き換えた図面にしなければならないからです。
今ではそうした情報はコンピューターに入力します。
アナログな絵をデジタル情報に置き換えて、織屋さんに渡すのです。

そうした技術的な大転換期を乗り切って来られているわけです。
しかし、きちんと手書きをしたものを基盤に制作していかないといいものはできないとおっしゃっていました。

こうした伝統工芸では、どの分野でも後継者問題が深刻ですが、この分野でも若手がほとんど育っていないそうで、組合幹部としても心を痛めているようです。

でも、最近一人若い女性が、是非とも・・・・やめておいた方がいいよという忠告も聞かないくらい強い決意をもって・・・・職人の世界にはいったのだそうで、満々に笑みを浮かべて、何とかものになるように育てたいねとおっしゃっておられました。
でも、それは京都のこの業界にただ一人の話なのです。 事態はそこまで深刻なんですね。
手にされているのは小学生などの体験学習の時にパンチで穴を開けさせて・・・・横糸の杼を飛ばすためのカードです・・・・作らせたものだそうです。

少しでも体験を通じて興味を持ってくれればと思い、そういう事業にも力を入れているのだそうです。

すっかり話し込んでしまい、最後には「またぜひ。」と握手の手を伸ばしていただきました。

私に年齢を尋ねられて「まだまだ若いなあ。」とつぶやかれました。
大いに鞭撻されました。
- 2016/11/09(水) 00:00:23|
- 伝統工芸
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