「ギャラリー高野では、木版画などのアート作品や、オリジナルポチ袋、一筆箋、ポストカードなどを取り扱っております。」
お店のHPにはこう書かれていますが、とてもとてもその範囲に収まらないとてつもなく深く大きなギャラリーです。(勿論、お店の面積や地下室についていっているのではありません。)
「大正14年から京都で美術出版を営む創業家の自宅の一部を解放した小さなスペース。」だと紹介されています。
ご主人は私より10歳ばかり年長の方です。

この方は美術出版を受け継いでこられた方ですから、古美術から大正ロマン、古径や松篁などなどの数々の収集があります。
私が哲学の道を自転車を押しながら散策している途中に、ふと久しぶりに立ち寄ったギャラリーです。以前立ち寄ったのは、もうずいぶん前のことになります。
ギャラリーの前で少し愚図愚図している私を笑顔で迎え入れてくれたのがご主人でした。
そのご主人がお店に飾られた絵について丁寧に説明をしてくれるのです。

このお店にはたくさんの外国からのお客さんが立ち寄られるのだそうで、100に近い国からのお客さんが来ただろうとのことでした。
お客さんが立ち寄ると、なんという国から来たのか、その国の言葉で「ありがとう」はどういうのかなどと話しかけて、また美術について親しく話すのだそうです。
お顔は実に楽しそうです。

私は芸術(絵画)について素養がありませんから頓珍漢なやり取りになっていたのではないかと思うのですが、よいと感じたものはそういい、感じたことは言葉にするようにしています。
それでご主人はとても歓迎してくださって、次から次へと名作・秀作を出して見せてくださったのです。
本物と印刷(相当気合の入った美術書専門の印刷会社のものです)を並べて見せてくれることさえしてくれました。
ご主人が元美術出版をされていたからこそでしょう。

手刷りの版画の作品の見事さに改めて感銘を受けました。
摺師の力はすごいものです。色といい、線といい、グラデーションの表情と言い、現代技術の印刷でも到底及びません。
本物の一枚一枚を手にとって目の前10センチで見せていただけるのは、こうしたお店だからこそです。
美術館ではこうはいきません。
むろん手指の油が付いたり、息がかからないようにフィルムのなかにはいっているのですが。
線の擦れや揺らぎに至るまで食い入るように見せていただけました。
- 2016/11/06(日) 00:00:44|
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