よく人口に膾炙する言葉に 「40歳過ぎたら男は自分の顔に責任がある(Every man over forty is responsible for his face)」というものがあります。どうやらそれは、かのリンカーン米大統領のもののようです。
そしてまた、ジョージ・オーウェルというイギリスの作家は、 「50歳になると、誰でもその人の人格にふさわしい顔になる」ということを言ったらしいのです。
よく聞かされる言葉であるだけに、私には少々『耳が痛い』のです。
しかし、わたしはこうして人物の写真を撮らせてもらっていますから、この言葉に・・・・40歳とか50歳とかいう節目はともかくとして・・・・・は同意するところが少なくないのです。
そして、今日のこの方を撮った時、またこうして写真を見返した時に、やはりその言葉を肯定的に確認するのです。

中国上海出身の方です。もうすでに20年以上日本に済んでおられます。
私よりやや若い方ですから、幼少から青年期にどういう動乱を経験をされてこられたのか幾分かの想像ができます。ご自身もその一部を話してくださいました。
日本に来てからもおそらく並大抵の苦労ではなかったろうと思います。

この方のプライバシーをこれ以上書くことはできませんが、この素晴らしい笛を知りずっと吹き続けたことが、この人の人生を支えてきたとのことでした。

私が鴨川を走っていると上流の方から笛の音が聞こえました。
その音は一音一音に妥協がなく、加えてつながりの美しい吹き方でした。
これは素人ではないなと直感しました。
そしてその音色や曲想はどうやら中国のものらしいのです。

橋の下の河川敷でふいているのですが、私は段丘の上でしばらく耳を傾けさせていただきました。
すると遠目に私に気付いたこの人は、私の方に体を向けて、私を意識して吹いてくれたのです。
小気味よく短い音を連ねたリズミカルな曲です。後で聞くとモンゴルの草原を駆ける馬をイメージした曲だそうです。
曲が終わると、私は遠くから拍手をしたのですが、丁寧なお辞儀をもって応えてくれました。
私は河川敷に降りて行って、お礼を言いつつご挨拶をしたのですが、この方はそれから半生と音楽についていろいろな経験や思いを話してくれました。
この方はこうした笛だけではなく書など他の様々な技芸にも通じておられる方だそうですが、今はこの笛に気持ちを集中されているとのことでした。
中国の大自然、日本の四季・変化の豊かな自然、そういう自然に包まれた心持を笛で表現したいとおっしゃっていました。
- 2016/11/01(火) 00:00:32|
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