「家紋」「紋付き袴」などいう「紋」を着物に描きこむお仕事です。
「丸に二つ引き」や「ミツウロコ」などは描きやすいとしても、揚羽蝶やや藤などはなかなか難しそうです。
植物を図案化したものが比較的多いですが、植物の場合は葉脈などをきれいに描くのがカギだそうです。
私が撮りたいというので、「どうするかなあ。」とおっしゃいながら墨を摺り始めてくれました。

本格的に着物に書き入れるようなわけにはいきませんので実演用の歯切れに「揚羽蝶」を描いていただけることになりました。
墨は私たちが普通に使う「習字用の墨」だそうです。

皆さんの家紋は何でしょうか?
我が家は父方が「三柏」、母方が「ミツウロコ」です。
何千もの紋のデザインは一冊の本に集められているのですが、「描き慣れたものは見なくても描ける」野だそうです。
しかし、それぞれの家紋は例えば同じ藤であっても葉脈の筋の本数などが家によって違っていたりしますから、しっかり確かめて間違いの無いようにしなくてはなりません。
こうした家紋のデザインの多様性という点では他国に例を見ないそうですね。
筆はとても細いものを使いますが、毛は、芯の部分が狸の毛だそうです。周囲を馬のしっぽの毛が包んでいます。
米に字が書けそうです。

布は縦糸と横糸からなて散るわけですから当然表面に凹凸があります。そこにこうして細い線で絵を描くのですから、かなりの技術が必要です。
筆を強く押し当てれば凹部分には墨が届きますが、山の部分では墨が頂部で沪されて多くなりすぎて滲んでしまいます。
ですからむしろ頂部に墨を置いて凹部ににじませるくらいの線の引き方をします。
極端に言うと、拡大してみれば点と点がにじみ出つながっているという感じです。

それが滑らかな連続した線に見えるように書く・・・・それだけでも大変です。
手書きで書く葉脈は線の太さも均一で先が細くなりますが、並行する線がやはり同じ太さできちんと等間隔で並行しなければなりません。

下地を染める際に「紋場」という円形の染残し部分を作ります。 染まらないように「ふせて」置くわけですね。
その中に紋を描きこむのですが、紋場が正円に染残されているとは限りませんから、正円とのズレを修正しながら染料を補わねばなりません。
そういう仕事もこの紋を書く仕事の一部になるのだそうで「地の染料の色を判断して染料を作らなければならない。だから染の知識も必要なんだ。」そうです。 深いですね。
- 2016/10/03(月) 00:00:08|
- 伝統工芸
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