
職人さんのどの方を撮らせていただいても快い緊張があります。
友禅の色を置く前の防染の糊を置く仕事です。別の方でも紹介しました。

この写真を撮り始める前は、ご近所のとても気のよいおじさん・・・実際そうなんでしょうが・・・という雰囲気で様々なことを教えていただきました。
「京都五川と言って京都には五つの川が流れているけれど、それぞれ水質に違いがあって友禅の「流し」に一番適しているのが「小川」なんだそうです。
「小川」については以前その流れを追いましたが、今やほとんど痕跡しかなくなって表面的にはどこにも流れはありません。
それにしてもこの狭い土地を流れる川のそれぞれに水質の違いがあるんですね。壬生の水質は友禅には適さないそうなんです。ただし化学染料が出る前の話ですが。

実際に川で友禅流しをしていたのは昔のことで今ではみんな人口の川、つまり流れるプールでやっているのですが。

友禅がなぜ京都の北西部で・・と言ったって京都府のことじゃないんですよ。京都のこの盆地の中でのことです。・・・栄えたかというとこの辺りの湿度が安定しているからなんだそうです。
この狭い盆地の場所によって湿度の安定度が違うの?! なるほど冬になると十条、九条では曇り、四条辺りで雨、今出川辺りで時雨、北大路へいけば雪、北山では自動車がチェーンを巻いているというくらい違います。

お酒造りに自然環境が大きく影響するのとおなじように蚕の吐いた糸に草木の汁を使う時代には、自然環境の微妙な違いが染料の染まり方や糸の縮み方、ねじれ方、織の時の糸のつまり方などに大きな影響を与えていたのでしょうね。
雑談の時の三重さんと糊をさしているときの三重さんも、これが同じ人かと思わせるほどの違いです。
- 2011/10/02(日) 00:05:43|
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