昨年の秋だったと思います。
「来年夏にドイツから若い音楽家が来るから写真を撮ってあげて。」というお話がありました。
若いプロの音楽家たちが日本で演奏会をし、またCDの録音をするというのです。その際に時間を見つけて写真を撮ってあげてほしいというお話でした。

この人たちはバロック時代の音楽を、当時と同じ楽器を使って演奏しようとする人たちです。
皆さんご存知の通り楽器にも変遷があり、技術上の革新も積み重ねられてきました。
ですからバッハが思い描いていた音と、ベートーベンが自分の音楽のために楽器に求めた音とでは異なっていたわけで、それに応える楽器の構造や素材に工夫がされてきているわけです。

それは音楽の需要者の階級や階層の生活の在り方がそれを規定します。
現代のようにアンプで音を増幅したり変容させたりしてスピーカーを通して演奏する時代には、バイオリンやフルートも変わらざるを得ません。
押しなべて音が大きくなります。
音楽のパトロンが大衆になれば多くの人を集めて、その人たちに音を届けなくてはなりません。会場も大きいし、人が音を吸収しますから、それを越えて音を出さねばなりません。
チェンバロの音は貴族たちの館では十分な音量でしょうが千人も二千人もの聴衆を集めたホールでは、迫力に欠けます。そこでピアノ・フォルテが開発されることになるわけです。
チェンバロ奏者は三橋桜子さんです。

モーツアルトやベートーベンの曲なら、彼らの譜面が要求する音は現代の楽器に大きく近づいているでしょうから、イメージはかけ離れているとは言えないかもしれません。(それでも随分違うはずだと言われていますね。それでやはり当時の楽器を使い、オーケストラなどでは楽器の数も減らして演奏することがよく行われているようです。)

ましてバッハやヘンデルともなれば。
そうなると今私たちはバッハやハイドンが思い描いた音楽とは違ったものを聞いているのではないかということになるわけで・・・。
このバイオリニストが使っている楽器は250年ほど前に制作されたものだそうです。
弓の形状に注目してください。
フルートは、いまでは「金管」になっていますが、木製です。黒檀などが使われるのだそうです。優しい音色ですし、ピーっという強い音は出にくいです。

セバスティアン・ハルトゥングさん。 ドイツの人です。
チェロも形状が現代のものとは違いますね。

バイオリン奏者はエメヌエル・ブレダさん。イタリア人。
11歳でミラノ音楽院に入学するという俊才です。

この時代のバイオリンは羊や牛などの腸を弦にしているのだそうで、弓の弦は今と同じ馬のしっぽの毛です。

わたしは今回の京都ファインダー倶楽部の写真展/ファインドアイ・文人光画展に、この人たちの写真を出品させてもらいました。
- 2016/08/31(水) 00:00:00|
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